侵略警報が響き渡ると、俺達は一斉に教科書を閉じ、座布団にしていた防災頭巾をかぶり始めた。 否応なしに不安を駆り立てられるうなり声のようなサイレンを聞きながら、皆は慣れた手つきで教科書を鞄に詰めて、教室を出て、地下の待避壕に向かい始める。 先生も何も注意せず生徒に交じり、待避壕に向かった。 一日に一回、多ければ四回も警報の鳴る日が続けば、誰ももう騒ぐこともなくなる。 「なあ、逢坂。屋上へ行こうぜ」 そんな避難の流れに逆らって、友人の宮田が声を低めて提案してきた。 「先生に知られたら、説教きついぜ?」 「俺は穴蔵にこもって怯えたネズミのように死にたくはねーよ。死ぬのなら青空の下がいい」 「……そうだな、待避壕に籠もっても結末は変わらないしな」 「そういうこと」 宮田が笑顔を浮かべる。サイレンが音量を下げ始め、ジェットエンジンの遠雷のような轟音が響き始める。 俺達は避難する人の流れから抜け出し、暑苦しい防災頭巾を脱いで校舎の屋上へ向かった。 上空を鏃のごとき黒い影が通り過ぎた。F?2だった。 「まだ残存機あったんだな。四発もJDAMを積んでる」 「てことは、地上侵攻集団が来てるんだな。おやおや九〇式戦車だぜ、ロートルを出すなぁ」 空を眺めている俺の側で、宮田は双眼鏡で、戦闘機が去った方を覗いていた。 「十二式戦車なんて、新しすぎてろくろく数が揃ってないよ。インベーダーが来るまで、平和主義万歳って国防費を削りに削っていたから」 俺は爆発音と射撃音が始まった遠くを見ながらつぶやいた。 「そのくせ、今じゃ学校での軍事教練の時間数を増やせって言うんだから馬鹿だねぇ。泥縄って言葉を知らないんじゃないか?」 「マスコミなんてそんなものさ。ま、もう新聞は四日に一回くるかこないかだし、TVなんて映らないけど」 宮田の皮肉に俺は感慨もなく答えた。 地球が核兵器を突きつけあって脅し合う幸せな幼年時代を終えたのは、わずか十年前のことだ。 外宇宙よりの侵略者、インベーダーはいかなる前触れも無く、人類を襲撃した。 彼らは中国、インド、インドネシア、アメリカと襲い、人類を多数誘拐した。 世界は驚愕し、インベーダーとの交渉を試みた。 そして返ってきた答に絶望する。 「人間は我々に利益をもたらす生きものである。多数繁殖しているから、収穫をしていく」 その言葉と共にインベーダー達は人間の使い道を理路整然と公表した。 心臓は、耐久型生体循環ポンプに。脳は、人格を消去して、自律型マシンの中枢ユニットとして。 腎臓は、浄水濾過システムに、肝臓はDNA改変により広範囲の生体維持システムのパーツとして。 小腸は必須アミノ酸抽出システムに。……全て一から作って培養するよりコストが低いという理由だった。 インベーダー達は、極めて合理的だった。合理的に商品生物として、無駄なく人間をさらい、解体して、利用した。 かくして人間は、インベーダーと戦うことになった。 人間を誘拐するコストをあげることで、インベーダーの意図をくじこうとしたのである。 だが抵抗は空しく、人類の兵器は役に立たなかった。 インベーダー達が人の脳を再利用した巨大な人型兵器を送り込んだのである。 ……インベーダー達は用意周到だったのだ。 地球で採取した資源と人を遙かに超える技術、そして人の脳を無慈悲な機械へと変える方法を用いて、人類の抵抗を排除し、自らの目的を進めていったのだ。 今、この瞬間も、F?2が放ったミサイルを、鋼の巨人達は敏捷によけて、そのまま手に持った戦車の主砲よりも巨大な大砲のようなものをぶっ放し、F?2は爆砕した。 その足下で戦車が踏みつぶされて転がっていて、アスファルトは踏み砕かれ、ビルは窓ガラスを失って傾き、町が紅蓮の炎に揺らめいている。 だが少ない抵抗を容易に踏みにじった後も、巨人達はなおその場に止まっていた だが少ない抵抗を容易に踏みにじった後も、巨人達はなおその場に止まっていた。 「奴ら、何探してるんだ?」 宮田がそんな事をつぶやく。 「食いでのある人間じゃないか?」 紅蓮の炎の揺らめきの向こうで、絶望をそのまま形としたような巨人達を見ながら、俺は力が抜けた笑いを漏らした。 入間、朝霞の戦力がこれで尽きたのは明らかだったからだ。 「……違う! なんだ、あれは?」 宮田の言葉に、俺は屋上の金網にへばりついた。 視線の先で、鉄巨人がゆっくりと倒れていく。 足に地震に様な揺れが走り、ついで破砕音が重低音で響いた。 そして、爆発炎上する巨人の側に、新たな影が現れる。 「白い巨人?」 それは女性的ななまめかしさすら伴った、白い優美な羽をはやした大天使だった。 刹那、音が消えた。 やがて、遅れた轟いた高周波に思わず耳を押さえて目を閉じた。 再び目を開けたとき、敵の巨人達は、ほとんどが崩れ落ちていた。 場合によっては戦車砲の直撃ですらはねのけるその装甲が、切り口を無惨にも焼けただれ融解させて、二分されていた。 「……ビーム、……だとぉ?」 宮田のつぶやきと共に、焼けただれた鋼と人肉の臭いが入り交じった熱い突風が吹き抜ける。 残った巨人達が怯えたように大砲を構えて、白い天使を取り囲んだ。 腹が揺さぶられるような轟音が連続した。巨人達が大砲を乱射したのだ。 だが、俺が顔を上げたとき、穴だらけだったのは、大砲を構えた巨人達だった。 鉄くずと化した巨人達の輪の中に、天使は居なかった。 やがて天使が上空から下りてきた。校舎を派手に揺るがせる激震とともに地面に舞い降りた、巨人達のものよりもごつい大砲を構えて。 「……あれが……味方?」 「まだ、わからん!」 燃えさかる巨人と町の中に悠然と立ちつくす天使は、しかし突如その顔をあげて虚空を見つめた。 「増援だ! ……やばい! 数が多いぞ!」 虚空から多数降りてきた増援の巨人達は、今度こそ容赦なく大砲を撃ちまくった。 白い天使は華麗にかわして、巨人達を打ち倒していったが、限界があった。 巨人達は大砲を連射して恐ろしく濃密な弾幕にしたのだ。 やがて直撃弾らしき爆発が、飛び上がって回避しようとした天使を覆う。 爆煙がはれると、天使の姿が徐々に迫ってきた。 「やばい! こっちにおちるぞ!」 ぐらりという形容がぴったりに、天使は高度を落とした。はずだが、天使の姿があまり大きくならない。 こういう時は、直撃コースだというのを、俺達はよく知っている。 撃墜された戦闘機の姿が「いつまでも大きくならないとき」が、弾丸のようにこっちに迫っているときだ。 宮田も俺もあわてて駆けだして、屋上への入り口を目指す。 ドアをくぐり、階段を下りかけたところで、甲高い轟音が迫り、息を呑んだ瞬間、激震が俺達を襲って、俺の意識は飛んだ。 やがて崩れた小石が俺の額を叩いて、俺は目を覚ました。 屋上へ出る階段だったところは、単なる廃墟と化していた。 埃があたりに漂い、崩れた壁から日光が差し込んでいる。 頭を振って起き上がると、尻に鈍い痛みが走ったが、それだけだった。楽には死ねないらしい。 起き上がった俺は、ほとんど崩れている階段の、わずかに残った残存部を慎重に降りた。 その階下に巨大な白い天使の腕と上半身があった。 「宮田! みやたーー」 返事はうめき声だった。声のほうをたどり、俺は宮田を見つける。白い天使の腕の下に。 「宮田! ここはやばい! でれるか?」 「……だめだ。足になにか食い込んでいる」 うめく宮田の体をひっぱるがびくともしなかった。 「この腕を動かしてもらわないと……」 俺は巨大な天使の腕から肩、頭に視線を巡らせる。 これが人類の作ったものであるなら、注意書きはあるはずだ。メンテナンスにはつきものの注意書きが。 果たせるかな、簡易な英語で書かれた注意書きが、胸にあった。 瓦礫と腕を利用して、胸のところに駆け上がる。天使に動きはない。 「緊急コクピットアクセス……ハンドルをまわし、ハッチを展開」 指示通りにクランクハンドルをまわすと、胸の一部が展開し出す。 七割ほど開いたところで、中に飛び込んだ。巨人たちの足音が近づいていたからだ。 内部はかえって簡素だった。やはり従来のメカではないらしい。 分厚い装甲板をとおりぬけると、居たのはコックピットらしきところで気を失っている少女だった。 白いパイロットースーツ……らしき衣装を身にまとっている。 「おーい、きみ」 声を掛けるが起きる気配は無い。 肩に手を掛けて揺すったが同じ。 突如、電子音が鳴り響いた。ディスプレイにalertの文字が点滅。俺の開けたハッチが自動で閉まった。 「ちょっと、なんだよ。これ!」 続いてディスプレイにレーダー画面が映る。移動物体が三つ。解析結果がすぐに出る。例の巨人たちだった。 fasten seatbelt. Remain 10sec until restart. その表示と共に秒数が減っていく。 「くそぉ!」 あたりを見回す。コックピットは並列複座だった。そしてもう一方の席は無人。 残りの5秒で席に飛び込み、残り2秒でベルトを締めた。 ガクンと一揺れを起こす。 「どうすりゃいいんだよ、こんなの!」 「問題ありません」 「え?」 それは先ほどまで意識を失っていたはずの少女だった。 「機体操縦はこちらで。目標選定と射撃コントロールを渡します。freindly fireに関しては、現在、周囲の味方は10km圏内に存在せず、考慮の必要はなし」 「……それはともかく、友人が機体の腕の下にいるんだ!」 「確認。移動不可能ですか?」 「怪我をしている!」 「了解。衝撃緩衝材を充填し、安全な場所に移します」 突如、眼前のモニターに宮田が映った。機体の袖口のようなところから白いものが発射され、宮田を覆う。それを大きな指がつまみあげ、待避壕の入り口に置いた。 「優先命令を完了。警告、敵が接近します。迎撃態勢に移行」 モニターに敵が映し出される。 「敵の数は? さっきみたいに多数だとまたやられるぞ」 「こちらに三機接近中。さらに周囲に三十八機が包囲中」 「さっき使ったビームみたいなものは?」 「陽電子ビームは、充電中。使用まで後三時間」 「使えねぇ! 他に武器は?」 「レーザー融合弾が2発」 「何それ?」 「地球側名称、超小型純粋水爆です」 「却下だ! 核を使わず できるだけ居場所を知られないようにして、十体ほどは始末したい」 「では再突入多弾頭型自己鍛造弾頭弾を垂直発射、接近する三体を高速誘導弾で牽制し、狙撃します」 「……わかった」 「高速誘導弾発射、続いて再突入型多弾頭弾、発射」 座り込んだまま上と左右にミサイルが打ち上げられていく。 「制音狙撃モードに移行。スタビライザー同調、トリガーオープン」 ロックオンサークルに知らずに迫ってくる巨人達が捉えられる。天使の抱えていたあの長大なごつい砲の先端が、巨人の頭に向いた。 恐怖がよぎる。だが、それ以上に戦意がまさった。 カチリと、トリガーがひかれる。発射音はなかった。ただモニターの中で、巨人の頭が消滅していた。 「次目標、エイミング。……トリガーオープン」 景色が流れ、先ほど倒した巨人の方をみて立ち止まる巨人が映る。 手元のトリガーのたてる音だけが響くと、巨人が胸に大穴をあけて、倒れていった。 「さらなる次目標、エイミング。目標移動パターンによる照準補正開始」 先ほど射出したミサイルを迎撃しようと移動を開始する巨人がいた。 ターゲッテイングボックスが巨人から右にずれる。だが巨人が移動方向を変えると、ロンクオンサークルごと激しく左にずれた。 トリガーを引く。だがタイミングがわずかにすれて、敵の右手を吹き飛ばしたに過ぎず、巨人はよろめいて、そして俺達にカメラアイのようなものを向ける。 「警告、被照準中、回避機動開始。砲身冷却終了、トリガーオープン」 向けられた大砲の先が光ると同時にトリガーをひいた。 予期していた衝撃はなく、流れていくモニターの中で、巨人は腰でまっぷたつになり、それぞれが爆発した。 「回避成功。しかし警告、包囲中の敵複数より照準波検知。被照準中。回避機動パターン変更」 上下左右前後と吐きそうなGに襲われながらも、連射モードに変更して手持ちの砲をうちまくる。 「さらに回避パターンを変更、誘導モードに移行」 その言葉を聞きながら、対空散弾でミサイルを撃ち落とした。 「再突入弾、最終フェーズに移行。ブロードEMPバラージシェルの発射を推奨します」 「わかった。やってくれ」 「射出準備完了。照準設定完了。センサー保護完了」 トリガーをひくと、長い煙をひいてそれは飛び、やがてガツンというノイズとともに盛大に光り始めた。 統率された戦闘行動をしていた巨人達に乱れが出る。 「再突入弾まもなく着弾。2,1、オンターゲット」 地震のうなりのごとく大地を振るわせるような音と共に、破砕されたコンクリートが大災害の煙のごとく、立ち上った。 「敵、二十七目標を危害半径内で捕捉。いずれも現在行動を認めず。健在な目標も、防御態勢と思われ、戦闘移動は最小限です」 やがて粉砕コンクリートによる濃密な霧が晴れる。 「赤外線レベルでの敵活動状況、危害半径内全目標活動停止、推定撃破。健在目標、戦闘移動再開」 戦闘が再開される。敵の数がかなり減って楽になるかと思ったが、大きく違った。 連携をとり、距離をつめて、砲を連射し始めたのだ。 それでも俺たちは被弾しながら地道に一体ずつ倒していった。 「敵各機、交戦距離を短縮させる傾向あり。ゼロレンジコンバットモード待機。主砲は残弾わずか」 頭に血が上るような不快な逆Gのなか、前方の一体にポイント。ロックオンサークルが輝く。 トリガーとともに吸い込まれるように弾が走り、手足をもぎとって、火球に変えた。 「残弾0、ゼロレンジコンバットに移行」 長大な主砲をマニュピュレータが振り回す。突進してきた敵巨人に主砲が突き出され、巨人は堅固な装甲ごと串刺しになった。 「キャパシタ全開放」 盛大な破裂音とともに串刺しになった巨人が全身の隙間から紫電を放ち、そのまま薄い黒煙をあげて仁王立ちになる。 「マニュピュレータプロテクター展開。ウルトラマイクロダイナミックインパクティングアトミックフュージョンシステム起動」 主砲を手放したマニュピュレーターに、ごつい金属のプロテクターがかぶさる。 「アトミックフュージョン? 待て、それは!」 「さらに敵接近」 警告音とともに迫り来る巨人にかぶさったターゲッティングボックスが表示され、すぐにロックオンサークルが輝く。 「ちきしょう!」 嫌な予感とともに引いたトリガーによって、大天使の腕が巨人に向かって伸びる。 目もくらむような恐るべき光とともに拳が当たった巨人の顔が、ぐにゃりと溶け落ちる。 「検出放射線許容範囲内、残留放射線許容範囲内」 「核融合じゃねーか!」 「吸収線量および人体影響度は問題ありません。現状機体の放射線防護能は正常範囲内、問題ありません」 「そういう問題かよ!」 「さらなる敵、接近。残り2」 天使の双手が鈍く輝く。両側から見事にタイミングを会わせ、巨人達が迫った。 「敵は同時連係攻撃の模様、被弾回避の場合、損傷はさらに増大する恐れあり」 「ここで仕留める!」 「了解。誘爆防止プログラム開始。レーザー融合弾起爆装置分離。各ブロック閉鎖準備」 砲を構えて、寸分違わぬタイミングで巨人達は跳躍した。 そしてまた、俺たちもタイミングを合わせて、音もなく飛び上がり、巨人達を迎え撃った。 右の拳が、空中にあった右の巨人の腹を貫いた。左の拳は巨人の首を貫いた。 左の巨人の首が取れて、空中を舞う。 その瞬間右の巨人が、最後の力を振り絞り完全なるゼロ距離射撃を敢行した。 G以上の衝撃がコクッピットを揺らし、モニターがブラックアウト。 少女が悲鳴をあげて硬直し、そして機体全体が轟音と衝撃にゆすぶられた。 座席から計器類に紫電が走り、ブラックアウトしたモニターがぐにゃりと溶ける。 揺れが収まったとき、コクピットは樹脂の溶ける臭いと暗黒に包まれていた。 やがて赤い非常灯が何度が瞬いて点灯し、コックピットが赤い光の中で浮かび上がる。 俺は、顔を覆っていた手を下ろし、鼻に付く臭いのする空気を、ゆっくりと吸い込んだ。 体に痛みは無く、手足も問題なく動く。なんとか生き残ったらしい。 安堵のため息をつきながら、そろそろと自席から立ち上がり、もう一つの席のほうを見た。 「おい? だいじょうぶか」 だが、俺の声に少女の無機質な答は無く、ただ白いパイロットスーツに包まれた体が死んだように投げ出されていた。 立ち上がり、彼女の側に近づいても、彼女は動かなかった。息をしている感じすら無い。 救命講習で学んだことを思い出し、頸動脈に触れる。 脈拍は触れなかった。 恐ろしくきれいに整った鼻の穴のところに手をやったが、空気の出入りを感じることもなかった。 そしてその体は温かさを持たず、その肌は汗をかいているような湿り気もない。 何よりその顔は美しく整いすぎてしみ一つ無く、力なく横たわる姿は 人形そのものであった。 「な、なんなんだ? これはいったい何なんだよ! 誰か! 出してくれ! 頼む、出してくれぇぇぇ」 言葉とともに、金属がきしる音が響き始める。 前面の壁にすこしづつ隙間が出現し、漂う薄い煙に動きが生まれる。 やがてまぶしい太陽の光が入り込みはじめると、壁は俺の入ってきたハッチの扉になって、はねのけられた。 見えたのは切り取られたようなまぶしく青い空と、燃え上がるぼろぼろの町、そして延々と転がる巨人達の残骸。 そこに見慣れない黒く長い筒が現れる。 「動くな! 手を挙げて、そのままでいろ!」 それは突撃銃を構えた陸上自衛隊の兵士達だった。数挺の銃に狙われるなか、俺の側を隊員達が出入りする。 無線がひっきりなしに何かをわめき、熱く焦げた風が俺の頬をなでる。 背後から爆音が近づく。振り返った上方には白く優美だが俺とともに破壊をまき散らした機械仕掛けの天使の顔がある。 その頭のすぐ上を自衛隊のヘリが手の届きそうな低高度で通り過ぎた。 その窓に、隊員ではない白衣を着た女がいる。その女の目は、明らかに俺をみていた。 それが、俺と彼女達との1st dayだった。 |