「先輩。」
「なんや後輩。」
「あと10日ですね。」
「……お前もしつこいな。」
 10日後というのは彼女の定期試験が終わる日だ。その日に俺の家に呼ぶという約束を結ばされたのだが、その
約束をしたのは一月も前。それから毎日カウントダウンをしてくる。
「先輩が忘れないようにしてるんですよ。」
「そんならもう覚えたから。正直うっとおしいで。」
「それならいいんですけど。」
 腕に抱きついてきて離れない。本当に楽しみにしているみたいだ。
「部屋、ある程度は片付けとくからな。」
「きれいな部屋、期待してますよ。」
「そこまでは期待したらアカン。3か月分溜め込んでるんやから。」
 それを聞いて彼女は苦い顔をする。汚い部屋は嫌いですよ、と見上げてくる。
「住んどったら慣れるけどなぁ。」
「私はまだ住んでません。」
 慣れてないのは分かるけど、『まだ』ってのはどういう意味だ。

 * * * * * *

 そして10日後。
「お邪魔します。」
 学校からそのまま来た安田は、駅に迎えにいったときから気持ち悪いくらい笑顔のままだった。せめて一度家
に帰って私服になってほしかった、と溜息をついている俺のことは気にならないらしい。
 10分ほど歩いてアパートに着く。俺がドアを押し開け中に入るように促すと、好奇心の塊になった彼女は靴を
蹴飛ばすようにして脱いでしまって奥の部屋に直行した。すぐに短い悲鳴が聞こえてくる。
「……!」
 涙目でこちらを振り返る。だから言ったのに……じゃない、言ってなかったな。
「部屋掃除し切れてないから足元気ぃつけろ、て言おうとしたのに。先に勝手に行くからや。」
 一人暮らしの男の部屋なんて基本的にキレイなものではないのだろうけど、恐らく俺はその範疇を大きく超え
ていた、と思う。部屋一面に脱いだ服が散らばっていて、コンビニで買った夜食やお菓子のゴミがうずたかく積
み上げられていた。最初はゴミ箱も用意していたのだけど、あっという間に満杯になってしまってからは交換し
ていない……いや、1回は捨てたっけ?
 ……ともかく、そんな部屋を1週間かけて掃除して今では何とか部屋の床が見える程度には片付いていた。ゴ
ミはきちんと袋に詰めて部屋の隅に積んであるし、脱ぎ散らかした服は踏まれても問題ない。
 そんなことを考えていると正面から彼女に抱きつかれた。力いっぱい締め上げられる。
「掃除、したんですよね?」
「かなりきれいになったと思うけど、出来てないか?」
「出来てません。補習ですね。」
 言うと足元のTシャツを拾い上げて俺に突き出す。
「洗濯機はどこですか?」
 ちょっと気持ち悪いほどの満面の笑顔を前に、俺は黙って洗濯機のほうを指差した。

 部屋の隅のゴミ袋だけを残して(決められた日に出さないと怒られる)やっと掃除が終わった。1時間近くも
かがんだ姿勢をとっていたので地味に汗をかいていて、紺のTシャツがいつの間にか真っ黒になっている。気持
ち悪いのでTシャツを脱ぎ捨て、洗ってあるものを手に取ると、安田がああもう、と言いながら脱いだ服を洗濯
カゴに放り込んだ。せっかく掃除したのにいきなり汚すな、と言いたいのだろう。
「そういうことしとると母親みたいやな。」
「それなら先輩は子供ですよ。……さ、もうお眠の時間です。早く寝ましょう?」
 こちらが新しいTシャツに袖を通す暇も無くベッドに押し倒された。
「こら、風呂入って来い。お前も汗かいてベタベタやろ。」
「じゃあ一緒に入りましょう。ほら、お着替えお着替え。」
 安田は俺のジーンズのボタンに手をかけると一気に裸に剥いた。姿を現した我が分身はまだ完全に勃起してい
ない。頼りなく揺れたそれを安田が手に取る。放っておくと倒れるのを支える程度に握って凝視していた。
「……そんな風に見んな、情けないから。」
「嫌です。……んちゅ。」
 先端に軽く唇をつける。汗もかいているし不潔だというのに、躊躇う様子も無いその愛撫に一発で勃ち上がっ
た。反応があからさま過ぎて恥ずかしく、その後の彼女の行動を目に入れられない。
「すぐに元気になっちゃって。先輩だってその気なんじゃないですか。……びくんびくんって、かわいい。」
 見なくても感触だけで分かった。舌を小さく出してちろちろと先端を舐めてきている。心臓を締め付けられる
ような強い感覚が自然と歯を食いしばらせた。
 久しぶりのSEXに頭が痺れっぱなしだ。身体もずっと待っていたようで、彼女の舌使いを余すところ無く享受
する。声が自然と漏れる。
「うっ……く、安田。風呂に、行くんと……違うんか?」
「先輩は入らなくていいです。私がきれいにしますから。」
「……全身舐め回してきれいにするつもりかい。」
「当然です。」
 当然じゃないから解放してくれ、という叫びは発することが出来なかった。一瞬、それもいいかもしれないと
思ってしまった自分がいたからだ。
「んちゅ、んっんっ……ぁんむぅ……」
 舌で舐めるだけじゃなくて唇の中に収める。カリのところまで口の中に入れてその中で舌を走らせてきた。爪
先から頭の天辺まで稲妻のように走り抜ける刺激に腰が跳ねる。その拍子に口の中を深く犯してしまった。彼女
の苦しそうに咳き込む声が聞こえてきたが、それさえ快感に変わる。
 俺はどうしてしまったんだろう。こんなに変態だった記憶はないんだけど。

 彼女の咳が激しくなって口から一物が外れた。身体を起こして抱き上げる。背筋を数度撫でてやるとようやく
落ち着いた。
「ゴメン、苦しかったか?」
「はい。ちょっと臭くて。」
「……やから風呂に入ろうって言うたんや。」
「好きな匂いだから平気です。」
「この変態め。」
 変態と罵られて安田は少し表情が険しくなった。馬鹿にされたと思ったのか、すぐさま言い返してくる。
「それを言うなら先輩だって。私にこんなことされて、すぐ興奮しちゃって。」
「しゃあないやんか、気持ちよかったんやから。」
「もっとしてほしいですか?」
「うーん……その前に風呂入ろか? やっぱりベトベトするのは嫌やろ。」
 膝の上に乗せた安田をもう一度持ち上げてやり、今度はベッドに寝かせる。
「お前も着替えよか。なんやったら脱がせたるけど?」
「……お願いします。」
 目を閉じて顎を少し上げて白い首筋を晒す。……ホント、悔しいくらい可愛い。

 ブラウスのボタンを一つずつ外していくと、ハッとするほど真っ白な胸元が露わになった。控えめな膨らみを
純白のブラジャーが包んでいる。今すぐにでもむしゃぶりつきたかったがここは我慢する。俺だけ素っ裸なんて
不公平だ。
 スカートの腰のホックへ手をかけて緩めた。安田が少し尻を浮かせてくれたので、ちょうどいいや、と下着ま
で手をかけて一気に下ろす。膝辺りまで伸びた黒いソックスも爪先から引き抜いてベッドサイドに投げ捨てる。
彼女は前を開いたブラウスとブラジャーだけという、なんとも言えない体勢になった。
「変な格好ですね。」
「そやな。……身体、起こしてくれるか? そう、両手あげて。」
 正座からお尻を床に下ろした、所謂女の子座りで小首を傾げて手をあげてくれる。……この破壊力はちょっと
ヤバい。目をまともに見れない。
「先輩?」
「ゴメン、なんでもないっ!」
 俯いたまましゅるしゅるとブラウスの袖を引き抜いてやると、ブラジャーだけつけた彼女がまだ腕を高くした
ままこちらを見ている。
「これもですよね?」
 腕を上にして、目線でブラジャーを指し示して言う。俺は頷いて脇の下から腕を通して背中に手を伸ばした。
胸に顔を埋めるようにして抱きしめる。見上げると視線が絡んだ。引き寄せられるように顔を寄せる。
「んっ……」
 舌を絡ませない触れるだけのキスだ。それを何度も繰り返しながら両手はブラジャーのホックを外す。ぷち、
と小さな音が響いて彼女の下着が緩んだ。その音を合図にディープキスへ移行する。彼女の肩から下着を抜き取
ると、お互い素っ裸で胸同士を触れ合わせてただキスを繰り返す。唾液が垂れてお互いの陰毛を濡らした。
「んっ、はっ……せん、んぅちゅ……」
 安田が何か言おうとしたのを、こちらから舌を押し込んで黙らせた。さっきは風呂に入ろうかと言ったけど、
ここまでしてしまうとちょっと我慢できない。もう十二分に大きくなった息子にコンドームを被せようとベッド
サイドを手で探ると、その手を彼女にとられた。
「……一緒にお風呂、ですよね?」
 唇を離すと彼女は困ったように軽く笑った。そもそも風呂に入ろうと言ったのは俺のほうからだ。それを忘れ
るなんてやっぱり俺、どうにかしてるみたいだ。

 掃除の最中から用意しておいた風呂にはやや温めのお湯が張られていた。狭い浴槽の中で俺は足を伸ばして入
り、彼女はその上に俺と同じほうを向いて座る。俺が入るだけで溢れそうだった量のお湯は、2人で一緒に浴槽
へ身体を沈めると簡単に排水溝へと流れていった。
「先輩に抱っこされてお風呂入るのって、こんなに気持ちよかったんですね。」
 安田は背中を俺に預けてゆっくり味わうように肩まで浸かり、首を後ろへ逸らせて俺のほうを向く。彼女の頭
頂部が喉の辺りを擦ってちょっと痛い。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「気持ちいいですか?」
 それに、俺は彼女を抱きしめて答える。温めの風呂に可愛い女の子と身体を密着させて入るんだ、気持ちのよ
くないわけがない。普段はさらさらとした黒髪が湿気を帯びてしっとりと柔らかくなり、ふんわりと甘い香りが
漂ってくる。
 それにしても軽い。女で水の中とはいえ人間1人が身体の上に被さっているのに重さを全然感じない。思わず
軽いな、と呟いてしまう。
「もう少し重いほうがお好みですか?」
「別にそういうわけやなくて、ただ軽いなって思っただけで。」
「そうですか、ダイエットしてよかったです。」
「ダイエット?」
 痩身という言葉がぴったり当てはまるのにどうしてこれ以上身体を絞るのか、女性の考えというのは理解が出
来ない。
「だって先輩、前に重過ぎて腰が辛いって。」
 そう言われれば、前にラブホテルでそんなこと言ったっけ。
「真に受けなや、あんなところで言うたこと。お前はダイエットなんかする必要ないやろ。」
「本当ですか?」
「嘘吐いてどうすんねん。今のままで十分可愛いよ。」
 安田はうっ、と言葉に詰まるとブクブクと息を吐き出しながら風呂の中へと沈んでいく。脇の下に腕を差し込
んで持ち上げると恨めしそうな目で睨まれた。
「……反則です。今までそんなこと、滅多に言ってくれなかったのに。」
「今まで言わへんかったから、今日くらいは言うといたろうかってな。」
「死亡フラグですね。」
「何それ。」

 お互いの身体を弄ったり弄られたりしながら結構な時間が過ぎた。いくら温めとはいえ、いい加減ぼーっとし
てくる。
「そろそろあがろか。のぼせてまうやろ。」
「そうですね。……ん。」
 俺の首に両腕をかけて抱っこしてほしいとねだってくる。俺はこの体勢じゃ立ち上がれない、と一旦浴槽を出
た。そうして腰を落とし、湯船の彼女に腕をかませて持ち上げる。
「んっしょ。」
「重いですか。」
「そら人間一人抱えてたらな。」
「やっぱりダイエット頑張ります。」
「だから、お前はそれでええ言うてるやろっ……と。」
 振り回すようにして向きを変えるときゃあきゃあ言いながらしがみついてきた。変に重心がずれるので腹筋に
力を入れて堪える。暴れたら落とすぞ、と脅すと少しだけ静かになった。
 だが興奮してわくわくしっぱなしといった様子は変わらない。俺に静かにしろと言われてから口数こそ減った
ものの、目がキラキラしている。お前は子供か。

 彼女を抱き上げたままだったので身体が拭えなかったが構わない。ベッドへゆっくりと寝かせる。白いシーツ
を巻き込むように肢体が沈んでいく。
「先輩。」
 安田が一言俺を呼ぶ。俺は一つ頷いて彼女の横に腰を下ろすと、腕をとられ下半身へ導かれる。
「そうじゃなくて、こっちに。」
「こっちに言うたって、今風呂からあがったばっかりやのに濡れてるわけ……」
 少々乱暴に指を突っ込むと、そこは既に熱くてぬめり気のある液体で満たされていた。驚いて彼女のほうを振
り返る。
「お風呂でもずっと興奮してたので。」
「……この変態。」
「中で大きくしたのを私のお尻に押し付けていたのは誰ですか。そんなことされたら私もエッチになっちゃいま
 すよ。」
 憮然とした表情を浮かべると身体を起こして抱きついてきた。巻き込まれるようにしてベッドへ肩から落ち
る。ベッドに横たわる俺に腰を下ろした格好だ。
「……お前、ホンマに俺の上に乗るん好きやな。」
「先輩に全部預けてる感じがして好きなだけです。」
「体重も全部預けてるけどな。……そんな顔すな。重くないって言うてるやろ。」
 臍の上に座った彼女を見上げるようにしながらすべすべとした太腿に手を置く。湯上りで火照った肌の上に掌
を置くとぴったりとくっついた。彼女は弾かれたように身を捩る。
「ぅんっ……くすぐったい。」
「それやったらこっちはどうや?」
 太腿、骨盤と指を走らせ、茂みの生え際で止める。濡れそぼった毛の束の中に真っ赤に充血した珠が姿を見せ
ていた。
 俺の提案に彼女は首を横に振った。もう挿れても大丈夫なほど濡れていると分かってはいたが、このまま挿入
してしまうのはなんだかもったいないのだが。
「早くしましょ? 夜は長いんですから。」
「夜は長いって……普通、逆の意味で使わへんか?」
「だから、好きなプレイがいくらでも出来ますよって。」
「プレイとか言うな、アホ。」
 下から腕を伸ばすと彼女はぴくりと身構えた。頭でも叩かれると思ったのだろう。
「そんな顔しな。したい言うんやったら反対はせえへんて。……てか俺も、な?」
「?」
「お前もさっき言うとったやろ? 風呂の中で大きいままやったって。」
 我慢をしていたのはお前だけじゃない。

 安田は慣れた手つきでゴムを被せてくれた。最初の頃を考えると、こういうことを覚えさせてしまったんだな
あ、と少し申し訳ない。そんな俺の考えとは全然関係のないところで安田が腰を持ち上げた。俺自身を手で持っ
て入り口に押し当てると、体重をかけてゆっくりと身体を沈めてくる。
「んっ……」
 小さな声を上げて身体を震わせる。小柄な体躯がびくりと固まったようになって、それから蕩けた。苦しそう
に息を吐いて俺の臍のあたりに腕を突く。
「はっ、はぁ……気持ち、いいです。」
 静かな声色とは裏腹に結合部をぶつけるように何度も擦りつけてくる。じゃりじゃりと音を立てて陰毛同士が
絡み、くちくちと水音が響く。俺自身を包み込む柔らかい襞が優しく擦りあげてくる。
「うっく、奥のほう……あ、はぁっ!」
 彼女は一心不乱に腰を振る。円く動かして奥を刺激しながら声にならない声を漏らし続ける。目を閉じて歯を
食いしばっているのを見ると苛めたくなってきた。腕を伸ばして首に腕を引っ掛けると引き寄せる。
 俺からの急なアプローチにがくん、と肘が折れて息を荒くする。今は邪魔をしないでほしいのに、とこちらを
見る彼女の胸のポッチへ手を伸ばした。俺だって少しは愉しみたい。
「や、ぁ……もっと、ゆっくり、触ってほしい、です。」
 乳首を摘みあげるようにして捻ると涙目で文句を言われる。それを無視して両手で双丘を転がした。力が入ら
いのか倒れないように腕を震わせて耐える。
「我慢せんでも受け止めたるよ?」
「だって、倒れちゃったら、先輩がおっぱい触ってくれなくなっちゃうから……」
「触ってほしいんや?」
 こっくりと首を振るのが見えた瞬間、身体を密着させた。このままでは彼女のしてほしいようにはならない。
「ふぇ?」
「そんな風に言われると、意地悪したいなあ。」
「いじわる?」
「うん。」
 腰に手を回し、背筋に沿って尾てい骨の先まで滑らせる。更にそこから先へ。
「今夜は胸、もう触れへんとか。」
「それは嫌ぁ、です。先輩にもっと触ってほしくて、ずっと自分で触ってて、それで、それで……」
 恐らく思いついたまま喋っているのだろう、一生懸命懇願してくる。なんだかもう愛おしくって仕方ないが、
ここではまだ彼女のお願いを聞き入れるつもりはない。

「……とにかく触ってく、ひゃん!」
 先程尻においていた指を後ろの窄まりにあてがい軽くこじる。触っているだけだがひくん、と肛門が絞られた
のが分かった。同時に一物を差し込んでいた彼女自身が蠢く。
「そっちは、先輩、違っ……!」
「でもお前、触った瞬間からめっちゃ締め付けてきてるやん。……もしかしてそっちのほうが好きとか?」
 抱きしめて耳元で囁く。こういう風な囁きに弱いのを分かっていて責めるのは初めてかもしれない。菊の花び
らを数えるようにくりくり指を立てると、喘ぎ声に俺への非難の色が混じる。だが無視して指を躍らせた。
「せんっ、やぁっ、そこ、違うのにぃ……」
「違うのに?」
「ぅ、えっと、なんか、おかしくて、お腹がきゅうきゅういってて……」
 顔を見なくても分かる。珍しく恥ずかしがっていた。それが楽しくて更に責める。もう片方の腕を、今度は彼
女の身体の下に差し込み結合部分を撫でる。クリトリスを掠めながら外周を一撫で。
「うあっ! せっ、先輩、一緒はっ!」
「アカンか?」
 それに対する答えはもう聞けなかった。俺からの声が聞こえていないかのように腰を振り始める。彼女の襞の
一枚一枚が俺自身を絞り取ろうと動くのではたまらない。思わず声を漏らしてしまう。
「うあっ、急にすげっ……」
「気持ち、いいですかっ? 私、すっごく、いいですっ……!」
 彼女はうれしそうに顔を崩してますます腰を派手にぶつけてくる。俺自身がずるりと引き出されすぐに彼女に
咥えこまれる。激しく動く彼女の膣に加えて身体のぶつかりあいで頭が痺れてきた。このままではあっという間
にイかされてしまいそうだ。奥歯を噛みしめて射精感を自分の奥へ押し込める。
 そんな俺とは逆に安田は身体を揺らせ続けた。気持ちがいい、と喘ぐ声とぐじゅぐじゅと鳴る淫水は彼女の作
り出したもので、それが俺を余計に興奮させる。
「……クソッ!」
 これでイかされたら俺が全然動いていないままじゃないか。彼女の身体へ腕を掛け抱きしめて動きを封じると
上下を入れ替えた。

 腰骨に手をかけて結合部をぴったりとくっつけ下から抉らせて突き上げると、彼女は長い髪を振り乱して悶え
た。苦しそうに息を切らして涙をこぼす。
「奥の方、こつんこつんってされて、お腹の中が押されてっ……!」
「嫌か?」
「好きぃ、これ大好き……」
 好きなのは俺も一緒だ。先端が膣の中で一番深いところに触れている気がする。その勘違いに自分で酔ってし
まって夢中で突く。
「これ、先輩がしてくれるから、好きっ……!」
 彼女の細い足が腰を掴む。必死で俺にしがみつこうとしているのが、もうたまらなく興奮させる。
「ああ、もう!」
 可愛いな、という言葉を飲み込んで腰を大きくグラインドさせた。それまで奥の方を捏ねていたのを叩きつけ
る動きに変えたのだ。
「ひゃぁうっ! せんぱ、せんぱぃっ!」
 彼女もベッドのシーツをギュッと握って身体を固定し、より大きな快感を受けようと必死だ。俺のことを呼び
ながら嬌声を上げる。
「おかしくっ、せんぱい、イくっ、トんじゃうよぉっ!」
「もう少し、我慢、せぇ、俺も後、ちょっとやからっ……!」
 俺がそう言うと、安田は急に声を押し殺して耐え始めた。涙や涎や、色々なものを垂れ流しながら必死で耐え
ている。腹の底に力を入れているのか締め付けもキツくなる。
「ぅあっく、イく……!」
「わた、私もぉっ、イっ、ひゃ、ふあああぁぁ! っあああぁぁ!」
 叫びと共にきゅうっと中が強く絞られて、秘所から愛液が吹き出しお互いの身体を濡らす。俺もその刺激に耐
え切れずに射精してしまった。普段とは段違いの量が次から次へと溢れてくるのが分かる。

「??ぁ、はぁ、はぁ、ヤバい、めっちゃ出てる……」
 絶頂の後、最初に言葉を漏らしたのは俺だった。熱い迸りがまだ尿道を走り抜けているのが分かる。間違い無
く自己記録を更新中だ。
 彼女は気をやってぐったりしながらも俺を気遣っているのか腕を伸ばして俺の頬を撫でる。柔らかく、優しい
掌の動きが変にくすぐったくて首を竦めた。
「気持ちよかったから、ですか?」
「それと、ずっとしてへんかったからかな? ……それにお前が満足するほうが大事やで?」
 彼女から引き抜こうとすると足がまだ絡まっていた。腰が引けないので真っ白な足に手をかけると彼女は首を
振る。
「まだ、抜いちゃダメです。」
「いや、そろそろ抜かんと……」
 我が息子はとても元気で、もう大きくなり始めていた。大きくなってから中身入りのコンドームを安全に外せ
るかと言われると少々難しいものがある。だから今のうちに片付けてしまいたいんだが……
「このまま動いてもええけど、破れてもうたら大変やろ?」
「そっちのほうが、というかそれを狙って……きゃっ!」
「何が『それを狙って』や。ホンマにもう。」
 無理矢理引き剥がして処理してしまうとすごい目で睨まれた。そんな顔しなくても。
「怒りなや、そんなことで。」
「別に怒ってません。いつものことですもん。」
 ぷい、とそっぽを向かれてしまった。膨らせた頬が柔らかそうだ。何度呼びかけても俺と目を合わせてくれな
いので、仕方ないな、と彼女を抱き起こす。
「それが嫌やったらもう寝るか? 夜は長いからな、ゆっくり添い寝出来るで。」
「……先輩の意地悪。」
 安田はムッとした表情をすると飛びついてきた。お互い探りあうように口付けを交わし、そのまま2回戦に突
入する。

 * * * * * *

 カーテンの向こうが明るくなったのをベッドに腰掛けてぼんやり眺める。このまま横になったらそれだけで眠
ってしまいそうだった。5試合なんてやりすぎだ。
「元気やな、お前。」
 安田は俺とは違ってまだまだ元気で、朝風呂を浴びて出てきたところだった。バスタオルで身体を拭きながら
こっちへ歩み寄ってくると、俺に背中を預けて座る。
「もうそろそろ、準備しないといけませんから。」
「準備?」
「学校です。」
「……は? もう期末は終わってるやんか。暫くは授業無いやろ?」
「今年から、期末テストが終わった後にも暫く授業があるようになったんです。その分テストが少しだけ前倒し
 になって、7月の初旬に来たんですけど。」
 愕然としている俺を横目に安田はベッドサイドに落ちていたニーソックスを拾い上げて履きはじめた。膝を抱
えるようにしてこちらを見る。
「とっても、気持ちよかったですよ?」
「お前、わざと言わへんかったやろ。」
「まさか。分かっている上での合意だと思ってました。」
「とりあえずこっち向いて、目ぇ合わして喋れコラ。」
 もたれかかっていた身体を引き倒して脇腹をくすぐる。彼女は最初こそキャッキャッと暴れていたが、やがて
目の色が変わった。俺はその視線を真っ直ぐに受け止める。
「??出るまでまだ時間あるよな?」
「はい。……ぁん。」

 この日彼女が体調不良と言う名の寝不足で学校を早退した、と聞かされるのは、少しだけ後の話だ。
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