引っ越しの荷造りをしている。
クーと結婚してから住み始めたここから引っ越すのだ。
ダンボールがそこかしこに置かれた部屋ばかりだが
目を閉じれば様々な思い出が甦ってくる。
まさかこんな風に逃げ出す様に出ていく日が来るとは…

ふと視界に箱が入った。
それには”調味料”とクーの字で書いてある。
「まだあったのか…」
これさえなければ…
クーがカレーを作る事もなく
小さくなってしまったりする事もなく
そしてあの手紙を読んでしまう事もなかった。

あの日、帰宅するとクーがリビングで倒れていた。
近くにはこの箱。
開封厳禁だと念を押して封印までした調味料棚の扉が開いており
どうやら箱に移し替えていたのが解った。
クーの近くには封筒と紙が数枚落ちている。
クーを腕に抱き、気付くのを待ちながらその紙を確認して青ざめた。
なんでこれを?!と思うと同時にこれが原因だと解った。
回収しとけばよかった!悔しさで奥歯を噛む。
「男…」
「あ、クー、気付いた?」
「本当に男なのか?」
「あぁ本物だよ。なぁクー、これ」
と言ってクーに離婚届を見せる。
即座にクーの顔が強張ったのがわかる。
「こんなのこうやって…」
離婚届を細かく裂いて横へ投げた。
「破り捨てれば良いだけの事じゃないか」
「そうしても男が帰ってこなければ一緒だ」
「現に帰ってきてるよ」
「う、うぅ…」
クーの嗚咽を胸で受ける。
「ごめん。やり過ぎた。これっぽっちも本心じゃないから」

この数日後からクーの調子が悪くなり、それは一月近く続いた。
時同じくしてクーが愛情の確認だとか妻の務めとか理由をつけても
性交渉をする事がなくなった。
そう、2人とも好き過ぎて、愛し過ぎて、やり過ぎてしまったんだ。
でも、もう2人には戻れない。
自ら行った行為の代償は自らが負わねばならないのだから…

「あなた??」
新しき愛する者の声がする。
感傷にひたっている場合ではない。
さぁクーに笑われないように頑張らなきゃな。
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