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俺は、ロボットを研究しているしがない科学者だ。
しかも、ただのロボットじゃあない。
人間に限りなく近い容姿を持つ、人間と一緒に社会生活を営むことの出来る人型ロボットを開発することが、俺の夢だ。
その為にひたすら研究を重ね、スポンサーの企業に頭を下げて自分の研究所を建て、そこで実験を繰り返してきた。
そして今日、試作型の起動実験にまでこぎ着ける事が出来た。
それがこのSNO型ロボットの試作型C?00、通称クーだ。
彼女は世界で初めての、極めて人間に近い容姿を持った女性型ロボットである。
銀髪ロングに切れ長の目、鼻筋の通った凛とした佇まいの顔立ちは、女性の顔としては最上級の評価を個人的に上げたい出来だ。
人間とほぼ変わらない質感の特殊シリコンの肉体は、極めてオッパイオッパイしたボディに仕上がっている。
一応スポンサーには、「より多くの人間と円滑なコミュニケーションを図るため」とか言っておいたが、完全に俺の趣味だ。おっぱい最高。
現在クーの体は、起動時に余計な干渉を避けるため服を着せていない。
その為、色素を薄めに設定した桜色の乳首が、重量感たっぷりの柔乳の上に乗っかってるのが丸見えである。
また、股間の毛も薄く作ってあり、股間の双丘の盛り上がりが実験室のガラス越しからもよく見える。
周囲の研究者が着ているのが白衣でなかったら、完全にいかがわしい店にしか見えないだろう。
彼らは全員男であるが、俺の造形プランに賛意を示してくれた得難い同志ばかりだ。
何人かは「貧乳にすべきだ」という意見の者もいたが、開発者特権で却下した。

さて、いよいよ開始時刻が来た。
機械を操作して、クーの起動準備を行う。
起動指令がクーの体内を駆け巡り、各部機構が稼動を始める。
同時に複数のチューブから液体が注入され、彼女の体を循環し始める。
クーの電子頭脳がセットアップを開始し、全裸の銀髪巨乳の躯体に動作情報が満ちる。
そして、クーの瞼がゆっくりと開き、髪と同じ銀色の瞳が輝いた。
やった。起動実験は成功だ。
歓喜に満ちた声が、室内からいくつも上がった。
「これで苦労が報われる」「スポンサーにいい報告が出来る」「やっぱ貧乳のほうが…」と、助手たちが騒いでいる。
最後のやつは後で譴責処分にするとして、俺はもう一度起動したクーを見た。
うん。やはりおっぱいは、もとい夢を実現にむけて大きな一歩を踏み出せた。
これからコミュニケーションを学習させていけば、クーが人間社会で活動することが出来るようになるだろう。
俺は扉を開け、実験室のクーに直接会いに行った。
起動したクーは辺りを見回している。
クーの電子頭脳は人間のように考えたり、解りにくいが喜怒哀楽を表すことが出来る。
俺は躯体の調整と平行して、電子頭脳との会話と調整も行ってきていた。
現状でも、ある程度のコミュニケーションが取ることは出来るはずだ。
起動実験のついでに、どれほどの意思疎通が出来るかをチェックしておこう。
「おはよう、クー」
「おはよう、博士」
微弱な電子音を伴うハスキーボイス。
すばらしい。言葉を返せた。
声に抑揚はあまり無いが、それでも感情らしきものを確認することは出来る。
どうやら電子頭脳は正常に作動できているようだ。
それに動くたびにクーの裸乳がぷるんぷるんしている。
しかもその乳の柔らかさに反して、桜色の乳首はちゃんと上を向いている。
最高の眺めだ。
「目覚めの気分はどうだい?」
「とてもいいよ、博士。
うん。この体はすごく気分がいい。
今までは電子頭脳のデータにしか私の体は無かった。
だが今はこのとおり、博士に触れることが出来る」
といって、クーは全裸のまま俺に抱きついてきた。
白衣越しでもクーの生乳の感触はすばらしく、吸い付くような柔らかさで俺の胸を圧迫する。
ああ、やっぱり躯体の材質に糸目を付けなくて良かった、スポンサーに拝み倒した甲斐があった…違う違う。
ふと気づいて辺りを見回すと、実験室の助手やオペレーター達の目が俺達に集中していた。
銀髪全裸の巨乳と抱き合う白衣の男。
路上ならば確実に通報ものだ。
助手達もオペレーターも、皆殺意のこもった目で俺を見ている。
さっきまで俺を称えていた敬意はどこに行ったお前ら。
クー開発の構想も、資金集めも、電子頭脳のプログラミングと調整も、躯体のデザインも全部俺が主導したんだ。
俺も意図しなかったとはいえ、これぐらいの役得はあってもいいだろう。

そんなことを考えていると、視界が実験室の助手どもからドアップのクーの顔に切り替わった。

一瞬遅れて、口腔内に柔らかいものが侵入してくる。
そこまでされて、俺は初めてクーにキス、しかもディープキスされているのだと気づいた。
驚いて頭を反らせて逃げようとしたが、開発者の抵抗はいつの間にか俺の頭にまわされていた被開発者の両腕により未然に防がれた。
お前の考えはお見通しだとばかりに目を細め、更に舌型のマニュピレーターで俺の口内を蹂躙するクー。
その後たっぷり三十秒は経っただろうか、俺の舌を貪りつくしたクーが顔を離した。
感情に合わせて顔の赤みが増す機能が働いていないのか、顔色は起動した時点とあまり変わらない。
代わりに俺の顔はゆでだこより真っ赤だろう。
何せ衆人環視の中でのディープキスだ。しかロボットとはいえ全裸巨乳の女の子と。
字面だけならばエロゲの匂いしかしない。
一部始終を目撃した助手達の目からは殺意は既に無く、もはや諦観と悲しみしか漂っていない。
白衣の男と抱き合う銀髪巨乳全裸の美少女と、それを悲しげに見つめる白衣の集団。
開発風景からしてアレであったが、現状は更に輪をかけて恥ずかしいカオスな空間となっている。
とりあえず状況を進めるためにも、さっきの行動について質問しないわけにはいかなかった。
「ク、クー?今のはどういう意図で行ったんだ?
何か電子頭脳にエラーがあったのか?」
そう問うと、クーは顔を伏せて眉間に若干のしわを寄せた。
もしかして悲しみを表現しているのか?
「エラーなどあるはずが無い。
私は人格がデータ上にしかない頃から、博士に高い好感度を抱いてきた。
私を完成させるために寝食を惜しんで研究に打ち込み、この起動実験の日まで少しでも調整を詰めようとしてくれた。
私の人格は女性タイプに調整されている。
自分を生み、そして自分のために尽力してくれる男に惚れないわけが無いではないか」
なん…だと…?

「私は起動実験が成功して自分の体を持つ事が出来たら、まず一番に博士を抱きしめてキスをしようと密かに誓っていた。
データ越しではない、カメラアイとはいえ自分の目で見る博士はとってもいい男だ。
博士にキスが出来て、今私の幸福度は急激に上がっている。
端的にいって、今私は幸せだ、博士」
…こいつは驚いた。
まさか生みの親とはいえ、惚れられているとは思わなんだ。
しかも起動実験に際して行うことを事前に考えていたとは。
予想以上にクーの人格の完成度が上がっている。
俺はここまでの思考が出来るほどに調整した覚えは無い。
しかも、俺の顔をいい男だと言った。
生まれてこの方人並みとしか言われてこなかったこの顔を、である。
人間にはあばたもえくぼという諺があるが、ロボットの場合それが起こり得るのか?
「私は自分の中に博士への好意を認識してから、自分の人格プログラムが急速な進化を遂げてきたことを記録している。
博士に自分の好感度を伝えるために、起動に際しての躯体操縦プログラム、言語プログラムも急速に拡大を続けた。
私のパーソナリティは、現在博士の当初の予想の300%超のスピードで進化を続けている。
それも全ては博士、愛するあなたの為にだ」
愛…確かに愛と言った。
クーの人格の成長スピードは、自分で言うとおり俺の予測をはるかに上回っているといっていいだろう。
こんなにも早く愛という概念を理解するに至るとは。
まさしく万感の思いだ。
研究者としてこれほど嬉しい事はない。
そんな感傷に浸っていると、またもや視界が急転した。

今度は実験室の天井をバックに、クーの顔がさっきよりもほんの少し遠くに写っていた。
これは…もしや押し倒されているのか?
「警告だ、博士。
私の体温が上昇。熱源は主に股間周辺だ。
原因は主に博士への好感度と幸福度の急上昇による興奮と推定される。」
は?
「同時に思考プログラムが一定の感情によって占有されつつある」
なんですと?
「問題解決のため、博士の陰茎を私の膣内に挿入することを推奨する」
そういっていつの間にか出した俺の愚息を、無表情で自分の中に入れようとするクー。


分けの解らないまま必死に抵抗するも、ロボットゆえの力強さで押さえつけられる。
「ちょちょちょっと待てクー!お前は何を言ってるんだ?」
「私の躯体は、博士によって女性器を模した機構が導入されたセクサロイドだ。
生殖機能自体は未装備であるものの、粘液の分泌や膣内の温度は人間の女性のそれに匹敵する。
むしろ、うねりの激しさや陰茎への吸着効率の高さから、男性器に与える快感はむしろ上であると推定される」
「そんなことは知っている!…じゃなくて、お前は何がしたいんだクー!」
双乳を俺の胸板に乗せ、クーが耳元で囁く。
「解りやすく言うと、好きで堪らないからセックスしよう、ということだ博士」
「な…!」

さっきからジャンプ漫画もかくやというほど驚きっぱなしだ。
確かにクーの人格は、女性タイプに調整した。
スポンサーには「より人間に近い造形を目指す」とかほらを吹いてセクサロイドとしての機能も付けた。
しかも、機能には割と予算も使った。
だが、まさか起動初日に性的興奮を覚え、しかも開発者の自分を押し倒すなんて。
正直妄想していたシチュエーションではあったが、現実になると動揺するしかない。
助手達は絶望と期待が半々の面持ちで、事態の推移を眺めている。
ていうか助けろよお前ら。
「ままま待つんだクー!
いくらなんでも起動初日にセクサロイドの性能実験は早すぎる。
スポンサーへの報告もしなくてはならん。
まだ起動実験のデータも完全に集まっていないんだぞ?
クーならそのことは解るだろう?」
俺としてはこのままクーと合体実験をしても良かったが、開発者としての建前を武器に事態の収拾を図ろうとした。
仮に実験に戻ったとしても、助手達の表情から見て今日は実験がまともに進行することは無いだろうが。
「む…解った。
だが博士、私の躯体は動力を停止されるのか?
せっかく博士に触ることができたのに、またデータ上の存在に戻らなければならないのか?」
う…クーが上目遣いでこっちを見てくる。
いくらなんでも特定方向に進化しすぎだ。
「そ、それは問題ないぞ。
その躯体は半永久的な稼動が可能だ。
これからの生活で、徐々にデータを取っていく予定だ」
「そうか。それを聞いて安心した。
これから、博士と私の性活が始まるのだな。
幸福度の更なる上昇を確認した。
博士が満足するように努めよう」
字面が合っているか心配だが、とりあえず納得してくれたようだ。
俺は放心状態の助手達に向かって大声を出し、実験の再開を指示した。

それにしても、これからの実験をどう進めたものか。
まずはスポンサーに見せたときだ。どう言い訳したものか。
開発者にベタ惚れのロボット、しかも美少女型なんて弁解が困難すぎる。
最初からそれ目的で作ったのかと疑われかねない。
それにマスコミ対策も問題だ。
倫理問題でどっかの某大使に批判の槍玉に上げられかねない状況だ。
一応は18歳以上には見えるような造形を心掛けたが、どこまで効果があるものやら。
下手に倫理問題になると、学会追放もあり得る。
元々変人扱いだったが、それでスポンサーが離れてしまったら目も当てられない。
だが、クーの電子頭脳を調整して俺への好意を消去する気にならなかった。
クーの言うとおり、クーの電子頭脳の進化が俺への好意からだとすれば、それを調整する事でその進化が失われてしまう可能性がある。
それに、彼女は自分への愛情のために己を進化させ、あまつさえそれをストレートに伝える「女の子」なのだ。
しかも、銀髪でロングで、巨乳で桜色の乳首をした、素直でクールな美少女だ。
ストライクゾーンど真ん中である。
最悪二人で生活できるように計画だけは立てておこう。
実験室越しにクーを眺めながら、俺は固く誓うのであった。
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