首を伸ばせばグラウンドに舞い踊る彼女たちを観る事も可能なはずだが、僕はテキストから目を上げなかった。
チアリーダーは見上げるもので、四階の教室から見下ろすものじゃない。それに、練習中はジャージだ。

小教室の椅子は二つしか埋まっていない。
出席をとらないのでいつもがらんとした印象のある講義だが、今日が一番出席率が悪い。
そもそも教壇にさえ人がいないのだから。
僕は顔を上げて右斜め前の席を占めているもう一人の出席者をうかがった。
いつもと変わりなく伸びた背筋。
形の良い耳の上に眼鏡のつるが無い事を除けば、講義を受けている時となんら変わらない後ろ姿。

「眼鏡がない」
思った事がそのまま口に出てしまった。
彼女は振り向いてけげんそうに眉を寄せる。
「今日は板書の必要がないから、かけてこなかった。」
そう言って、僕の顔をじっと見る。
いつもと同じ表情の乏しい顔なのに、今日はそこに反射率の高いテクスチャでも貼られたような、
しっとりとした輝きがある。
「眼鏡をかけていた方が良かったか?」
あまりに何気なく投げられた言葉であった為、そうだねー自分眼鏡っ娘大好きだから
フレームによってひきしまった印象の普段の顔も好きだけど
今日みたいな無防備さを感じさせる素顔もそそられるねー、とナチュラルに返しそうになって踏みとどまる。
「眼鏡がないのも似合うね」と無難な文章を練りあげた時には、既に彼女の目は資料とレポート用紙に移っていた。


それが20分前の会話。

窓の外からは、相変わらず黄色い歓声と暖かな日差しが差し込んでくる。
部屋の中に漂うのは相変わらずの沈黙、
いやシャーペンが走る音と紙をめくる音がするので全くの沈黙とは言えないが―

その間、沈黙を破るための様々な言葉「今日は暑いね」「この後予定ある?」「冷房のある所に行かない?」
等をシミュレートして、どれも実用に耐えないだろうという結果を出している自分はとんだチキン野郎だと思った。
しかし「暑いね」と言えば彼女は「そうだな」というだろうし、
「どこかに行かない?」と言えば「動くつもりはない」というだろうし、
「予定ある?」と言えば「ある」にせよ「ない」にせよ、
今までの経験から言ってそれ以上長い言葉が返ってくるとはとても思えない。
二十五分前の会話が今日どころか、同じ教室で授業を受けるようになってから最も長い会話だ。

ちなみに25分前の会話は―

「5分遅刻している」

後ろの戸をそうっと開けて入った僕に彼女はそんな言葉を投げ掛けた。
特に感情のこもっていない、淡々とした一言だったが、下手な講師に言われるより堪える。
思わず深々と頭を下げて謝る僕を困ったような顔で見る。「私に謝る必要はない」
それはそうだけど、と教壇を見て、それから教室を見渡す。

「誰もいない」
「そのつもりで来たのではなかったのか?」
「そのつもり、って?」
「休講である事を踏まえて、という意味だ」
「…それを踏まえていたら、ここに来ないよ」
「では君は、授業がやっているのを期待して、ここに来たのか」

真剣な眼差しで僕を見る。
思えばこの時点で眼鏡の有無に気付くべきなのだが、
初めて目を合わせたという衝撃と気迫で気付く所ではなかった。
ここで「面倒くさいなあ、休講だったらいいのに」と思っていた事を正直に言えば、かなりの勢いで怒られそうだ。
「ま、まあそうかな」

彼女が持ちなおすまでしばらくかかり、その間僕は彼女に詰問される女教師プレイという
幸せな夢想をもてあそぶ事が出来た。

彼女が宙に彷徨わせていた視線を再び僕の顔に合わせた。
「すまない。授業はやっていない」
見れば解る上に僕に謝る必要は皆無なのだが、
心の底からすまなそうな顔をしている彼女につっこみを入れる事は憚られた。
「その、授業をするのは無理だが、課題を出すくらいなら何とか…」
「いや、お気持ちだけで結構です」
優等生の彼女が出す課題は本物の講師が出すものより厳しいものになるだろう。
「……教員棟に行って暇そうなのを二、三人捕まえて来ようか」
「いや本当にお気持ちだけで」

話題をそらす必要がある。
「えーと、何で休講だって知ってたのに教室に来たの? 図書館の方が自習には向いていると思うけど…」
その問いに彼女の顔は一瞬赤らむ。
「生活のテンポが保てないのだ」「テンポ?」
「毎週この時間はこの教室で過ごす習慣がついてしまったので、今更変えられない。恥ずかしい話だが」
彼女は目をそらし少し早口でそう言った。
「うーん、多かれ少なかれ誰にでもある事だし…」
この自分以外誰もいない状態でフォローが有効なのか迷う所だ。
「自分でも度を越している事は自覚しているつもりだ」やはり無理だったか。

「どんなに体調が悪くてもいつも通りの行動を取らないと調子が悪くなる気がして…
君が先程入ってきた時は私と同じ悪癖を持っているのかと内心驚いていた」
そう語りながら彼女は僅かに視線を落としていた。
僕は自分が彼女と同じ“悪癖”の持ち主だったら、と少し考えた。

返事の滞りを会話の終わりと判断したのか、彼女の目は資料とレポート用紙に戻った。
僕は惰性でテキストを広げながら彼女との会話を思い返した。
このやりとりを級友の誰かに話せば、彼女の奇人伝説を彩る1エピソードとして場の中心になる事が出来るだろう。
だけど僕はそうする気になれなかった。
それまで笑い話としてしか受け取ってこなかった彼女の奇行は、本人を目の前にすると
“知り合いの女の子が馬鹿にされている”という状況に変化してしまっていた。
それも“かわいい”女の子だ。

そんな風に彼女の後頭部を眺めながら25分が過ぎた。
外光が教室に舞う埃と彼女の黒髪をきらきらと輝かせる。
その頭が微妙に傾いでいるのに気付いたのは27分頃だった。
それまで定規を入れたように真っすぐだった背筋が前のめりになっている。
机の上に置かれていた左手は脇腹に添えられているようだ。時折ペンを持つ手が額を拭っている。


「ねえ」教室に響いた声に彼女の身体がびくっと震えた。「どこか調子悪いの?」

やや間があった。
「大したことは、ない」
押し殺したような声だった。言葉の間に「はあっ」という小さな息がはさまる。
「……あまり大丈夫そうに見えないけど」

しばらく待っても返事がなかったので、僕は立ち上がって彼女に近づいた。
彼女はちらっと僕を見上げるとすぐ視線を落とした。
普段は血が通っていないようにさえ見える白い顔が、赤く色づいている。
潤んだ瞳に思わず不謹慎な事を想像しかけて頭から振り払う。


「熱があるんじゃない?」僕が手を伸ばすと彼女は身体を小さく震わせた。
汗ばんだ額に手を当てた所で、自分の行為が無神経な事に気付く。
「ご、ごめん」離そうとした僕の手の上に彼女の手が重なった。熱く柔らかい手の平。
「…触っていてくれ」「いいの?」「…君の手が気持ちいい」

その言葉を脳内フォルダに保存して今夜辺り再び開く事を考えつつ、彼女の額を撫でる。
本来なら不快に思いそうな肌の湿り気も、潤滑油のように自分の中に染みこんでいくように感じられる。
当たり前であるが、この汗も彼女の身体から分泌される体液という事になるな、と考えると腹の奥がぞわっとした。
まずい。
このまま汗で、柔らかな唇や細い首筋、シャツの向こうにかすかに覗くその先にまで手を滑らせてしまいそうだ。
目蓋を閉じた彼女はいつもの怜悧さの代わりに子供のような柔らかさを備えていた。
「や、やっぱり保健室に行った方がいいよ」
そうでないと彼女をどうにかしてしまいそうで怖かった。彼女は熱で潤んだ目で僕を見つめる。
「いつもの事だから、しばらく休めば落ち着く」「でも…」
「別に病気ではないんだ。生理前というだけだから」

僕の顔は彼女より赤くなっていたと思う。と同時に非常な罪悪感に襲われた。
僕がいかに異性と付き合った事がないとはいえ、生理の際に体調を崩す事くらいは知識としてある。
そんな状態の彼女を見て妄想していたなんて人としておしまいだ。
じゃあ、ただ風邪なら欲情の対象としていいのか、というのは置くとして。

「痛いの?」口に出してから気が利かないにも程がある質問だと思った。
「そんな、でもない。先端がひりひりする、感じだ」
彼女はとぎれとぎれに言葉を出した。
先端? 僕は自分にない器官の痛みを想像しようとしたが、巧くいかなかった。


「すごく」彼女はかすれた声で続ける。「すごくずきずきして」
うながした訳ではないのに彼女の口は止まらなかった。

「ずきんずきんと大きく身体の中に響くような感じが、止まらないんだ。
その振動が中心から外側に伝わって、ふとももがぶるぶるぶるぶるして、
力がぬけて、全部の神経が中心に集中、した、みたいな」

僕は短く息つぎしながら言葉を絞りだす彼女の顔を出来るだけ見ないよう目を逸らしていた。
彼女は眉を寄せ、身体の中で暴れ回る感覚を押さえこんでいるようだった。
歪んだ口元は喜悦の表情になる寸前でストップモーションをかけたようにも見える。
このままではまた変な事を考えてしまう。

「生理でも、保健室に行った方がいいんじゃない?」
「…生理ではなく生理前だ。そんな理由で保健室に行く訳にはいかないだろう」
「どう違うの?」僕は困惑した。生理が始まっている/いないでそれ程差が生じるのだろうか?
「…男性にはないか」「いや、そりゃ…ないよ」
「個人差はあるが」深く息をつく。
「生理の際にあらわれる症状は頭痛や腹痛、発熱などだ。
私は下痢をもよおすが、便秘になるという人もいるようだ」
普段は人形のような彼女が“下痢”などと口にするのも衝撃的だったが、
赤い頬や何かを堪えるような表情を見ていると、
トイレの中の彼女もこれと同じ顔をしているのだろうかとか考えてしまう。


「あの、無理して話さなくても…」
「は、話していないと、理性が、負けそうになる」
理性? 彼女を止めた方がいいと思いがよぎったが、ではどう止めるのかという疑問の前に立ち消えになった。
髪を振り乱した彼女を押さえこんでいる画像が頭の中に浮かぶ。
「生理の前後に発情する症状を示す人もいる。私はそれが重いらしい」

何か今、すごい単語を聞き流した気がする。
「快感によって月経時の苦痛を和らげている、という説もある」
「…ストップ。発情ってあの発情?」
「君の言う発情の定義は解らないが」彼女は目を細めて僕を見上げる。
「私は今、身体が性交を求めて正常な意識を保てなくなる、みたいな状態だ」

「…恐くないの?」
「何がだ」
「その…僕だって、男なんだけど…」
このまま彼女を押し倒したい。汗で湿ったおっぱいをぐちゃぐちゃに触診したい。
彼女の言葉のままならずきずきと脈うつ彼女の中心から身体中に振動を伝えて、
足の小指の先までぶるぶると震わせたい。

「怖い」彼女のかすれた声も僕の正気の助けにはならない。
「このままでは君にとんでもない事をしてしまいそうで怖い。
君の汗の味を知りたい。男でも乳首を噛むと感じるのか知りたいし、
君の身体のごつごつした所全部に私の身体を擦り合わせたい。
君の迷惑などお構いなしで独りでよがり狂ってしまいそうな自分が嫌だ。
私は、君を、目茶苦茶にしてしまいたい」

口の中をざらざらしたものが蠢いている。身体中を熱く湿った膜が包みこんでいる。
その膜を破ろうとして、僕は両手の中にあるものを引き裂こうとする。
顔の零距離から「んうっ」という呻きが発せられて初めて、
僕は両手の中にあるのが彼女の身体で、
僕の口の中にあるのが彼女の舌だというのに気付いた。

あれほど妄想すると同時に、自分は一生出来ないかも知れないとまで思っていた初キスを
あっさりと行なっているばかりか、その瞬間を憶えていないという事実に衝撃を受ける。
僕が彼女を抱えあげたのか、それとも彼女が僕にのしかかったのかも解らない。
はっきりしているのは、今の僕が机に座ってバランスを崩さないように必死になっている事と、
彼女のおなかに突き刺さらんばかりに固くなったペニスを押し当てている事だけだ。

自分の口の中に動いているものがある、というのは今まで体験した事のない異様な感覚だった。
自分の歯茎をなぞり、上顎の裏をヤスリがける彼女の舌に驚き、口を閉じようとする。
「あ……んむぅ」
その声には確かに甘みが混じっていた。
そのまま自分の舌と挟んで締め上げる。
「っ、んんんんうっ」
声が激しかったので、ちょっと心配になる。
下目使いに見ると彼女はぎゅっと目を閉じていたが、僕の視線に気付いたのか、うっすらと目蓋を開けた。
涙の浮かぶ瞳がじっと僕を見つめる。

次の瞬間、彼女の舌はちぎれたトカゲの尻尾のような激しさで動き始めた。
身長差を埋めようと伸ばされた身体は僕の身体に密着し、柔らかな胸が擦り付けられる。
台の上のパン生地みたいに、丸くて、柔らかくて、粘ついたものが僕の胸の上で捏ね上げられていく。

僕は下半身の刺激にくぐもった息を彼女の口に吹き込んでしまった。
それまで彼女の腹に当たっていたペニスは彼女のふとももに擦り上げられて、
もぎ取られるかとさえ思える痛みと快美感に腫れあがっている。
スカートは既にまくれあがって僕の身体の間で皺になっていた。
ジーパンの厚い生地の向こうには、彼女の生足があると思うと腹の奥が焼け付くようで、
入るはずもない箇所に腰を突き上げてしまう。

僕の急な動きに驚いたのか、彼女が口を離した。唐突に消えた口腔の愛撫が餓えを駆り立てる。
目の前で輝く彼女の唇を求めて僕は衝突させる程の勢いで顔を近付けた。
想定したのよりは硬い、つるんとぬめった感触。狙いをそれて彼女の下顎に唇を当ててしまっている。

「その、そこは駄目だ」初めて漏れた彼女の拒絶に僕は驚くと共に反発を憶える。
「どうして?こういう事をしたかったんじゃないの?」僕の声は意識せずに険が含まれていたと思う。
「違う…君との行為が嫌なのではなくて…」彼女はそう言いながら顔を逸らそうとした。
僕は我慢出来ずに彼女の後頭部を鷲掴みにする。
こんな乱暴な事がしたい訳ではないのに。彼女に対して罪悪感と征服感という矛盾した感情が広がる。


「そこは本当に、駄目なんだ…私の唾液がついているから」
彼女の顔は今までで一番赤くなっていたかも知れない。視線を落とし早口で喋りだす。
「その……論理的におかしいのは解っているのだが、
さっき君とのキスのときは気にならなかったのに、
私の口から出ているものに君の口が触れているのが……恥ずかしいよ」
僕は思わず吹き出した。羞恥の余り涙ぐんでいる彼女をもっと見たいなんて考えてしまう。
そのまま口づけて、ずずっと、音をたてて啜る。

「だから、駄目だと言っているのにぃっ」
舌を伸ばして彼女の口まわりの唾液を丁寧に舐め広げる。
自分の身体自体が一本の性器になったとしたら、今自分はその先端で彼女を汚しているのだな、
と考えると僕のペニスはますます硬さを増していく。
「私の、が、君の、と混ざり、あって」切れ切れに言葉を吐くその口に舌を侵入させる。
彼女の口の中にはちょっと緑茶の味が残っていた。
緑茶と彼女の唾液が入り交じった味。
今まで彼女自身以外の誰も知らない味が自分の舌にあると思うともっと味わいたくてたまらなくなる。
彼女の頬の裏をなぞり、顔の形を歪ませる。彼女の舌が僕の舌に触れる。
互いに、離れた所から必死に手を伸ばし合っているように、擦れ違って掠め合う舌と舌。
僕は彼女の髪に指を食い込ませ思い切り彼女の口を吸った。

「―――!」
彼女の身体から力がくたっと抜けて僕の身体にもたれかかった。
「え?あ、大丈夫?」やばい、乱暴にしすぎただろうか。
彼女は僕の胸に預けていた顔を上げる。赤い頬、ぼんやりした瞳、顔中を覆う、彼女と僕の唾液。
しばらく酸素を取り込もうと口をぱくぱくさせた後、彼女は泣きそうな形に眉をよせた。

「謝らなければいけない事がある」「な、何?」
「君の服を汚してしまった」
彼女の視線は僕のジーパンの腿に向かっていた。
僕の腿を彼女の細い足がくわえ込んでいる。
彼女のスカートが僕の腹にはさまれてしわになっている。
彼女がゆっくりと身体を離すと、てらてらと光る、透明な粘液がそこに残る。
僕は指ですくってみた。細い糸が伸びる。

「き、汚いから、触っちゃ駄目だ」
顔をますます赤くして制止する彼女を無視し、そのまま口に運ぶ。生臭いような形容しがたい味。
「自分の、って、舐めたことある?」
ふと悪戯心を起こしてそんな事を訊いてみた。
「そんな事はしない!」顔を真っ赤にして叫んだ後、彼女は小さな声で付け加えた。

「…でも、君だけに汚い事をさせるのは嫌だから、私も舐める事にする」
そう言うと彼女は僕の足に絡み付くように屈んだ。
小さな温かな舌が僕の腿を這っていくのが感じられる。快感がそこを中心にひろがり、すぐに僕のものに辿り着く。
「…もう、もう駄目だよ」
自分の声がかすれているのが恥ずかしくてたまらない。
その思いと裏腹に硬くなったものを彼女の顔に押しつけてしまう。
彼女は不思議そうな顔で僕を見上げる。
「勃起してるな」特に動揺してるでもなく淡々と言う。

「どうすればいい?」
もちろんしたい事は一つだった。
いや、そこに至る経路は無数にある。舐めて欲しい、吸って欲しい、裏を指先で撫で上げて欲しい、
髪で、胸で、あそこで、すっぽり包みこんで締めつけて欲しい、
そしてそれら全てに僕のものを吐き出して真っ白に染め上げたい。
だが、ここにきてそんな事を要求していいのか躊躇いが生じる。
僕と彼女は今日初めてキスした仲だ。
それ以前にまともに会話すらした事がなかった。そんな彼女に何をしてもらおうと言うのだろう。

彼女の真っすぐな視線に、思わず目をそらす。
子供の前で勃起してしまったような気まずさと罪悪感。
「……前を開けた方がいいのではないか?」
「いや、いいよ」
彼女は人差し指と中指を揃えてジッパーの根元辺りに添える。
思わぬ刺激に弓なりになり、その姿勢が僕のものを彼女の指に食い込ませる。
「脈拍が高い。服の容量に余裕もないな」彼女は首を傾げながら僕を見上げる。
「男性の服はしたときの為に前部分にゆとりを作って置いたり、
したらすぐが露出したりする設計になっていたりしないのか?」
僕は一瞬想像してすぐに消去した。
今まさにそれが飛び出して彼女の顔にを塗りたくる様を浮かべると我慢出来たものではないからだ。
「開けるぞ。今楽にしてやる」我にかえると彼女は僕のジーパンを脱がせ始めていた。

「……下着の方はすぐに出る構造になっているのだな」
下着の端からちょこんと顔を出した僕のものに彼女は鼻先がつきそうな距離まで近づいている。
「は、早く」
早く“何”なのか、自分でも解らない。
早く“触って”? 早く“舐めて”? 早く“吸って”? それとも早く“入れさせて”?

「解った」
どれに対して“解った”のかは解らないが、彼女は慎重に僕の下着をずらし始めた。
もどかしい程のゆっくりした動きで生地が僕のものの上を滑っていく。
いっそ彼女の手を取って僕のものを鷲掴みにさせ、そのまま目茶苦茶に掻き回したい。
そう思っても神経が全て下半に集中して腰から上はぴくりとも動かせない。

やがて、厚い生地から解放されたものが最前に想像したのと同じ放物線を描いてぶるんと飛び出した。
その線上に、彼女の額があった。つるんとした感触が確かにあった気はする。
だが、その時はそれを自覚する事は出来なかった。

「あ、あああっ」
白濁液があとからあとから吹き出して、自分の意志では止められない。
止める為に腰に意識を集中させようとすると、快感に意識を取られてそのまま前後運動をしてしまう。
そのたびに彼女の黒い髪が白く汚れていく。
「ごご、ごめん」こうしてを垂れ流しにしている状況で謝っても説得力皆無だ。
腰の動きも止められないし、彼女の有様がまた下半身にぞくぞくするような波を起こしているのだから。


彼女は上目遣いに僕を見上げていた。
元から唾液で汚れていた顔が白濁液に覆われて、いつもの冷静な優等生の面影は微塵もない。
視線はとろんとして定まらず、口は半開きで小さく舌が覗いている。
彼女はその舌を僕の鈴口に当てた。
「うあ、あああっ」のけぞる僕の竿を掴み固定する。
彼女の舌が当たる箇所が痛みに感じられる程気持ちいい。
この期に及んで彼女が口に含んでくれたらとか、もっと欲深い事を考えてしまう自分に嫌気がさしても、
腰の動きが止められない。
もっと気持ちよくなりたい、という僕の思いと比例するように、彼女の舌が激しさを増していく。

噴出が収まって僕が理性を取り戻した時、彼女は指についた僕の精液を舐め取っていた。
僕と目が合うと若干気まずそうにする。「嫌だったか?その、舐めたりして」
「いや、全然気持ち良かったよ」
と慌てて答えてから、これ、本来は自分が言わなくちゃいけない事じゃないか?と思う。
「君の方は平気なの?」
「平気だ。その、私は舐めて貰わなくても大丈夫」なぜかそんな事を言いながらあとずさっていく。
「いや、僕のを飲むのとか抵抗あるかなって意味の『平気?』なんだけど…」
彼女はずささっと音が出るようなスピードで戻ってきて息を切らせながら言う。
「平気だ。正直に言えば苦くて喉に引っ掛かり過ぎるがその内慣れると思う。
それに舐めていると君が気持ち良さそうにするし、
自分が君ならそうして欲しいと思う事をするのに抵抗はない」
「……舐めて欲しいんだ」
「そんな事全然思ってない!」

彼女を捕まえてスカートの下から手を入れる。
内股に指が届くとすぐぬるっとした感触に包まれた。
そのまま指を上に滑らせる。
ふにふにとした柔らかな所に突き当たった。
「や、やああっ」
もがく彼女を押さえ付けてなおも指の腹でそこを探る。
そこがびくびくと震え僕の指に絡んでくるのが感じられる。その指を掻き回した。
「あっ、あああ、だめ、わたしの、が、ぐちゃぐちゃになるう」
こっちは子供の泥遊びのような感覚だが、彼女の側は快感で狂いそうになっている、というのが奇妙だ。

「君は嗜虐性が強いと言われた事はないか?」
僕の手が止まってやっと意味のある言葉を出せるようになった彼女が、あえぎあえぎ言う。
「ごめん」僕は反省が微塵もない笑顔で謝る。実際、涙と唾液と駅まみれの彼女が可愛くてそれどころじゃない。
「今度はちゃんと舐めてあげるから」彼女の足元に屈み、スカートの中に首を入れる。むっとした臭気に包まれた。
舌で流れ落ちる小川の源を目指す。
舐めとるたびに新しい雫が身体の震えとあぎ声と共に落ちてくるのが面白くてしょうがない。
鼻先が柔らかな布につき、僕の息づかいと彼女の震えが同調しはじめた時

鐘が鳴った。


彼女がスカートを上げ、突然外の光と音が戻ってくる。
窓の外ではチアリーディング部が終わりのあいさつをしていた。
遠くの教室で机や椅子が動かされる響きと人が移動する気配が伝わってくる。

「どうしよう?」固まってしまう自分が情けない。
彼女はてきぱきと自分の筆記用具をカバンにしまい、代わりに濡れティッシュとジャージらしきものを取り出した。
「私の着替えだが、使ってくれ」
なぜそんなに用意がいいのか?という疑問が顔に出ていたのか、彼女が付け加える。
「自慰行為で汚れるかと思って…持ってきて良かった」
女の子は色々大変なのだな、と納得しかける。
「僕がいなかったら一人で…してたの?」
気が付いたら子供のように彼女に着替えさせられていた。
その気恥ずかしさを紛らわすために口を開く。
「普段はトイレとかで…そこに行くまで我慢出来るのに」
ちらりと濡れティッシュで拭ってた僕自身に目を落とす。
「いつも自慰行為の対象にしていた人と二人きりになったら我慢出来なかった」

僕が何か言う前に彼女はジャージをひっぱり上げ、濡れティッシュで乱暴に僕の顔を拭うと、
そのティッシュごしに一瞬、唇をあわせた。
「来週、この教室で」ティッシュに覆われた僕の目にはそう言った彼女の姿が見えなかった。

気が付いたら自分の部屋で正座していた。
床にテキストや脱いだジーパンが散乱する、いつもの部屋。
間の記憶がまったくない。それ以前にあの教室であった事が現実とは思えない。
だけど、僕は今サイズの合わないジャージを履いている。
更に違和感があったのでジャージを下ろしてみる。

下着が女物だった。
当然勃起した。




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