目が覚めると、沙奈の顔が正面にあった。
 眉毛の数まで正確に数えられそうな間近。軽くつぶられた瞼、少し突き出された唇。明確に分
かるキスの直前。
 精緻な人形のように整った顔立ち。冷たいと評されることもあるが、今キスを迫る沙奈の表情を
見ればそんな評価は覆るはずだ。 
 あぁ、やっぱりなんだかんだで沙奈は美人だな。
 なんて思ったのは一瞬だった。
「なんでだよっ!」
 寝起きに幼なじみにキスをされそうになっていたと悟るのは……普段の経験からだった。
 起きあがるより先に、まったく動じていない幼なじみを押し退ける。
「沙奈、おまえ何をしてるんだ」
「……キスしようとしてた」
「なんで?」
「おはようのちゅー」
「おかしいからね、そこ、おかしいからね!」
 俺、横島光太と高山沙奈は断じてそんな関係ではない。ごくごく普通の幼なじみだ。
 ……沙奈は何の間違いか俺に明らかな好意を向けているようだけど、俺としては良い友人の
つもりだ。
 だから人の寝込みを襲うな。
 というか……。
「なんで、沙奈、俺の部屋に?」
 沙奈に甘いうちの母親が上げたのか? とも普段なら思うところなのだがあいにくと両親揃って
温泉旅行の真っ最中。
 あくまで他人の沙奈がうちに入れる道理がなかった。
「お義母さんが合い鍵くれた」
「はい、ダウトっ!」
「鍵、だめ?」
「百歩譲って鍵はOKにしてもお義母さんの発音はおかしいから! そこ譲れないぞっ!」
 絶対にそこは譲れない。
 譲ったら学生結婚のコースにされかねない。あの女(母親)も俺の敵なんだ、実は。
「……鍵はいいの?」
「……だってお前、俺が起きるまでチャイム鳴らすだろ? 絶対」
 幼なじみの経験則が俺に教えてくれる。
「そんなことしない」
「え?」
「ピッキングは覚えたから」
「なお悪いわ!」
 予想を遙かに越える回答だった。
 この幼なじみ日々、バージョンアップしてるよ。なんで!?

「こーた」
「なんだよ」
「大好き」
「なっ! 何だよ、いきなり」
 いきなり何を言う。脈絡もなく唐突だな、おい。
 ち、ちなみに別に照れてなんかいないからな! 顔が赤くなっていたとしたらそれは沙奈が朝
から俺を怒らせるせいだ。
「ん。朝の挨拶」
「それ、絶対違うからな」
 親しいものだけは分かるようなほんの些細な微笑みを浮かべ、沙奈は俺に……。
「だーかーら、キスはやめっ!」

 今日も俺と沙奈の関係はいつも通りだった。
 そう、今日までは……。


「さて、今日も行きますか」
「うん」
 沙奈と俺はクラスメートだった。
 登校も下校も一緒。集団登校のころからの腐れ縁だ。クラスも部活も同じで家も近い俺たちは
必然登下校が同じになる。
 別にずっと一緒にいたいわけじゃないのだが時間が合う以上仕方ない。
「あ、こーたそういえば……」
「んー?」
 いつもの通学路を二人並んで歩きながらとりとめもない会話をする。俺たちにとっての日常風
景だ。
「今夜は友達の家に泊まるってお母さんに言ってあるから」
「ぶっ!」
 どういう意味だよ、それ。
 いや、沙奈の性格を考えると……。
「こーたは友達だよね、今日までは。まだ」
「沙奈さんや、それは一体どういう意味なのかね……」
 思いもよらない言葉に……口調までおかしくなってしまう。おいおいおいおい、沙奈……マジ?
「今夜こーたに抱いて欲し……」
「わーわーわー」
 朝から何を言うんだろうか、この娘さんは。
 天下の往来。誰が聞いているかも分からないような場所でそんなことを言うのか……おい。
「ダメ?」
 当たり前だろ!
 心の中で叫ぶが体は言うことを聞いてくれなかった。
 俺だって思春期の男子である。それに、だ、沙奈のことをどう思ってるかなんて……なぁ
……?
 んぐぐぐぐ……。
「よかった……」
 俺の沈黙を肯定と受け取ったのか、沙奈は静かに微笑んだ。
 いや、だから、俺は何も言ってないだろ……。

 結局、沙奈の言葉を否定しきれず放課後が来てしまった。
 俺は沙奈から逃げるように家に走る。
 沙奈と一緒に帰らないのは去年些細なことでケンカした時以来だった。
「くっ、沙奈の奴、本気かよ」
 部屋に逃げた俺は……とりあえず、無造作に置いてあったマンガや雑誌を片づけ、部屋を軽く
掃除する。
 いつも沙奈に見られている部屋とはいえ、その何だ……うん。
 いや、特に意味はないですよ?
 先に帰ると沙奈は文句を言うだろうからちゃんと事前にメールはしてある。

『今日は先に帰る。別にいつもみたいに遊びに来たいなら来てもいいけどな!』

 自分で言うのも何だが、ツンデレなメール内容だと思う。
 沙奈はメールを確認した時に相変わらずの無表情を珍しく真っ赤にしてこちらを見ていたので
……真意は伝わっているだろう。
 いや、別に真意というか、何というか……。
 うん、とにかくそういう感じだ。
「さて……」
 どうしよう。
 この沈黙が耐えられなかった。
 いや、うん、沙奈が来ることなんていつものことなのに、な、なぁ……。
 ピンポーン、と軽い音を立てて階下からチャイムが鳴る。
 窓から玄関を見下ろせば、家の前で佇む沙奈の姿があった。
 ピッキング技術のある幼なじみは静かにこちらを見上げていた。
 うぅ……。
「ま、まぁ、入れよ」
 いかん、セリフ噛んでしまう。
 緊張!? 緊張してるの! 俺!
「晩ご飯の準備も買ってきたから」
 沙奈はいつものような態度で特に緊張した様子は見られなかった。沙奈に晩ご飯作ってもらうの
は割といつものことだし……あれ?
 俺が変に緊張していただけなのだろうか?
「晩ご飯の下準備だけしたら、シャワー浴びてくるね」
「って、おいっ!」
 欠片も……その緊張感が無いというか、沙奈は沙奈だった。
「……一緒に浴びる?」
「いや、なんだ、そのそういう意味じゃなくて……」
「ご飯食べてから?」
「…………いや、好きにしてくれ」
「分かった」
 そう言った瞬間、沙奈は無造作に買い物袋を置くと、俺に抱きついてきた。
「じゃあ、今すぐ」
「まてえええぇぃ! お願いだから待って!」
 割と豊満な胸を押しつけるように抱きついてきた沙奈に俺は慌ててしまう。いや、その俺だって
期待してなかったわけじゃないからそんなことをされると……な、なぁ。
「や。ずっと我慢してきたから」
「が、我慢って……」
「かれこれ十年くらい?」
「万年発情中!?」
「それだけこーたのことを好きだってこと」
 ちなみに十年前だと○歳なのですが、沙奈さん……まぁ、いいけど。
「せ、せめて部屋……行こうか」
「……分かった。そのくらいなら待つ」


「こーた大好き」
 沙奈が今まで何度も口にしていた言葉。
 いつものように純粋すぎる思いを俺に向けてきた。そして、そっと俺に向かって唇を……。
「ちょっと待った」
 迫る沙奈を押しとどめる。
「こーた焦らしすぎ」
 いや、まったく焦らしてないから。沙奈が焦りすぎというか、何というか。
「いや、ひとつだけ言っとかないとな」
「?」
「あー、なんだ、その」
 口にするべき言葉は決まっているのだがそれがなかなか口にできない。でもこれだけは言って
おかないという言葉。
「大丈夫。今日は安全日だから。それにこーたとの子どもだったら……」
「いや、そーじゃなくて!」
 それも確かに重要だけど!
「……俺は沙奈のことは良い奴だと思っているし、まぁ困ることも多いけど基本的に世話焼いてく
れて感謝しているというか、うん、まぁ、なんだ」
 違う、そんなことが言いたいんじゃなくて、だ。
 言葉にすれば簡単。それが言葉にできないのは俺がヘタレだからだ。
 なけなしの勇気を振り絞り、絶対に口にしなければいけない言葉をようやく絞りだす。
「沙奈、好きだ」
 言葉にすればたった五文字。
 俺が一度も沙奈に伝えられてない言葉だった。
 まったく俺はは素直になれないのだ。
「こーたっ!」
 言った瞬間、沙奈は俺に体当たりと言わんばかりにぶつかってきた。
 そして……押し倒されました。

「あ、あのな、沙奈んっ……」
 俺の言葉は沙奈の唇によってふさがれていた。
 何かをしゃべろうにも沙奈はキスを止めないし、それどころか舌が俺の口の中に潜り込んでく
る。積極的なのだが、どこかたどたどしい動き。沙奈が初めてなのは想像に難くないのだが、そ
れにしては容赦がなかった。
 初めての女の子にされるがままって……。
 何というか、情けない。
「んっ、ちょ、ん!」
 息苦しくなって俺は半ば無理矢理沙奈から顔を離す。殺す気か……。
「あの、こーた」
「ん、なんだよ」
「鼻で息をすればいいと思うの」
「…………」
 い、いや、そんなことも思いつかないくらい緊張してたわけじゃないぞ!
「こーた可愛い」
 男にはなかなか屈辱的な言だった。
 そんな俺の心情なんか知らずか、沙奈は再びキスをする。
 俺もただされるままというのはしゃくだったので今度は俺のほうも舌を差しだし絡ませる。
「こーたのえっち」
「ちょ、お前が言うか!」
 最初にそういうキスをしてきたのは沙奈なんだけどね!
「…………こーた」
「ん?」
「服、脱がすね」
「なんだか男女が逆転してるような気がするのは気のせいかな」
「大丈夫」
 何の根拠もないことを薄い表情で言いながら、沙奈は俺のシャツに手をかける。とりあえず抵
抗も……したくなかったのでされるがままにしていたら、あっという間に上半身は裸にされてい
た。
「次はこっち」
 さすがにベルトに手をかける時は手が戸惑うがそれも一瞬、沙奈の手は俺のズボンを脱がし、
中のものを取り出していく。
「こーた、もうこんなになってる」
「す、好きな女にこんなことされて勃たないわけないだろ」
 トランクスを突き破らんばかりにそそり立つ肉槍を見て沙奈が息をのむ。いや、その沙奈にこん
な姿を見られるとは、は、恥ずかしい。
「沙奈、お前も脱げよ……俺だけ裸だと恥ずかしいだろ」
「こーたは半脱ぎとか着たままが好きだよね」
「な、なんの話だよ!」
「こーたの嗜好」
 ……否定はしないが、それは言わないで欲しい。

「初めては、な。その何というか普通に」
「うん」
 沙奈はちょっと微笑むと制服に手をかけ、もどかしくそれを脱いでいく。
 ……たぶん、俺の言葉を今度する時は半脱ぎでね、と解釈したような様子だった。……否定は
しないけど。
 白い肌が外気にさらされ、次いで形のいい乳房、へそ……初めて目にする沙奈の裸だった。
 そのいつも見慣れた沙奈の見慣れない姿に思わず息を飲んでしまう。
「んっ」
 ショーツも脱ぎ捨て一糸まとわぬ姿になると彼女は俺に微笑みを浮かべた。
「こーた」
「あ、あぁ」
 沙奈の肌と触れあう。密着する俺と沙奈の体。暖かい……熱いくらいの沙奈の体が俺の胸板
に押しつけられる。
 女性を現す大きな二つの膨らみが俺の体で潰れる。尖った先端が当たっているのは気のせい
だろうか?


「電気、いいのか?」
「こーたをよく見たいし……こーたに見て欲しい」
「さいですか」
 恥ずかしいという思いはあったが沙奈がそういうのなら、と思う。
「じゃあ、するね」
 沙奈が俺に抱きついたまま言った。
「って、待てよ、まだ準備が出来てないだろ」
「大丈夫、こーたのもうこんなんになってる」
 沙奈の手が俺のお腹を下がり、俺の肉棒に触れる。彼女の体にすっかり興奮した俺の愚息は
すでに完全な臨戦体勢だった。
「っ!」
 白く柔らかい指に触れられるだけで自分で触る時とは比べものにならない快感が走る。
 そのまま沙奈の指は包み込むように俺の肉棒を覆い、そっと刺激をする。
「もう準備出来てるみたいだよ」
「って、そうじゃなくて、沙奈のほうだよ」
 思わず声が漏れそうになるのを必死に堪える。決して巧い動きじゃなかったが、それでも沙奈
に触れられているという精神的なものが俺をたぎらせていた。
「ん……こーたが出来てれば良い。頑張る」
「が、頑張ってどうにかなるものなのか?」
「絶対に誤解されたくないから言うけど、私初めてだから」
 うん、それは予想は出来る。
 というか初めてだったら、その前戯とか必要なんじゃないのか?
「ダメ」
「なにが?」
「ちゃんとこーたにご奉仕する。それが妻の役目」
 いや、妻って、沙奈さんや……気が早いというか、何というか……。
「私の好きにさせて」
 …………。
 沙奈が強い意志を持った目で俺を見る。何というか譲る気がなさそうな目だ。
「わかった」
 諦める、けど沙奈が辛そうだったら……その時は止めよう。
「ん」
 嬉しそうにキスを……唇同士が触れあうような軽いキスをする。
「じゃあ、挿れるね」
 俺に密着するように抱きついたまま、沙奈の手が俺の肉棒を導いていく。
 秘処が見えずどうなっているのか分からないが、時折肉棒の先に触れる柔らかい部分が沙奈
のそこなのだろう。
 ひょっとしたら沙奈も直視するのが恥ずかしいのかもしれない。
 だからこんな風に……。
「ん、あっ、ごめん、あとちょっとで入る」
「焦るなよ、時間はあるんだから」
 俺の先端が沙奈のそこに触れる度、彼女の口から戸惑うような喘ぎ声が聞こえてきた。
 図らずも前戯に近い意味を沙奈に与えているようだった。俺としては生殺しに近いけど……。
「んっ、あっ、っっっ!」
 苦痛を押し殺した声が沙奈から響く。同時に俺の肉棒がきついものに包まれていく。
 沙奈の中に入っていくのが痛いくらいに感じられた。しかし、肉棒を包む沙奈の感触はあまりに
も心地よくて、情けない話気を抜けばすぐにでも達してしまいそうだった。
「……沙奈、大丈夫か?」
「大丈夫、こーたとひとつになれて嬉しいだけだから。これは嬉し涙」
 ほんのり目元を潤ませた沙奈。
 絶対強がりが入っているだろう。
 あー……。
 無性に沙奈にキスをしたくなって、俺は彼女の唇を奪う。いかん、このままだと沙奈の思うつぼ
というか何というか。
 もちろん、このまま沙奈とずっと一緒でもいいと思う俺も強いのだけど。

「んちゅ、あぁ、んんっ! こ、こーた」
「……ん、沙奈……」
 舌を絡ませ、唾液を混じらせ合い、俺たちは何度もキスを交わしていた。
「こーた好き。大好き」
「さっきも聞いたぞ」
「何度でも言う」
 さいですか。
 そう答える代わりにもう一度キス。
 あぁ、沙奈に溺れてるなぁ。
「こーた、待たせてごめん、動くね」
「沙奈は大丈夫なのかよ」
 俺たちの接合部を見ればそこには確かに沙奈が初めてだという証の赤い血が流れ出ていた。
 沙奈が辛いようならしばらくこのままでも……。
 俺がそう提案しても沙奈は頑なに首を振る。
「ダメ。頑張る。こーたが私以外の女の子に行かないようにしっかりしないと」
「……沙奈以外ってあり得ないけどなぁ……」
 沙奈に聞こえないような小さな声でぽつりと告げる。
「嬉しい」
 ……どうやらしっかり聞こえていたようで……。

「じゃあ、頑張るね」
 沙奈は俺の上でゆっくりと動きはじめた。
「んっ」
 肉棒が抜ける寸前まで腰を引き上げ、下ろす。たどたどしい動きだけど、沙奈の動きはただ俺
に快感を与えることだけを考えたそんな動きのように思えた。
 事実俺は沙奈の膣内に擦られ、砕けそうな快感が走る。
「っっっ!」
「こーた、気持ち良い?」
「あ、あぁ……」
 うめくことしか出来ない。
 俺に快感を与えていることに沙奈は満足したのだろうか、微笑むような顔で動き続ける。
 沙奈の動きに合わせ、豊かな乳房が跳ねる。俺は下から掬いあげるように双乳を掴むとそれを
イジる。
「んっ、こーた好きなの?」
「ま、まぁ俺も男だからね」
「あっ、んっ、んんんっっ」
 指で先端を摘み、手のひらで膨らみを回していく。沙奈に快感を与えることは出来たようで彼女
の口からは俺の動きに合わせて甘い喘ぎが漏れていた。
「んっ、このおっぱいはこーた専用だから好きにして良いよ」
 いや、そんなこと言われたら……なぁ。
 沙奈の膣内に擦られ、今にも絶頂しそうな快感に襲われてるのだ。その上、そんな可愛いこと
言われたら……。

「ひゃん、あぁ、こーた、そんないきなりっ!」
 突然下から腰を打ちつけられ、沙奈が悲鳴をあげる。
 どうやら沙奈も痛みより快感が勝っているらしい、俺の乱暴な打ちつけにも艶っぽい声をあげ
る。
「や、こーた、私が動く」
「沙奈ばっかりじゃ不公平だろ?」
 というか本音は気を抜けば俺だけイッてしまいそうだからなんだけど。
「んっ、そんなこのままじゃ私、っっ、っ!」
「い、いきそうなのか?」
「たぶん、初めてだから分からないけど、なんだか、っ! っ! あっ! あっ!」
「そっか」
 俺が限界が近かったように沙奈も上り詰めているらしい。
「こーた、こーたは?」
「俺もいきそうだよ」
「うれしい。こーた、ちゃんと中に出してね」
「っっ」
 いや、ふつう中に出してとか言うか。
 と思いつつこのまま中で果てるという欲望には逆らえそうになかった。沙奈の膣内もそれを許
さないように俺をきつくくわえ込んでいた。
「あっ、んっ、こ、こーた、す、好きっ!」
「あぁ、ん、俺も……っ!」
 俺の上で跳ねる沙奈。沙奈を突き上げる俺。
 リズムよくぶつかり合う俺たちは互いの限界を目指しただ、むさぼり合っていた。


「こーた、こーた、ん、んっ、っっっっ!!」
「沙奈っ!」
 沙奈が大きく跳ねる。俺の肉棒から精が吐き出される。
「ああああああっっっ!」
 ひときわ高い沙奈の絶叫のあと、ゆっくりと彼女は俺にもたれ込んできた。
 どくっ、どくっ、とかなりの量のものが沙奈の中に注ぎ込まれている。
 沙奈はそれを一滴残らず受け止めるようにしっかりと繋がったまま、俺にキスをした。
「こーた……」
「んっ」
 沙奈の髪を撫でながら、俺たちはただ互いの体温を感じあっていた。
 どのくらいそうしていただろうか、やがて沙奈が何かを思い出したようにポツリとつぶやいた。

「ごめん、こーた、ひとつ訂正」

「え?」
「私のおっぱいはこーたのものって言ったけど」
「あ、あぁ」
 今思うと恥ずかしい極まりない台詞だ。
「訂正。こーたとの赤ちゃんが出来たら……おっぱいはちゃんと赤ちゃんにもあげないと」
 ……そりゃそうかもしれないけどね、あの気が早いよね、沙奈、基本的に。
「赤ちゃん出来るのも時間の問題」
「な、なんでだよ。まさか実は今日危険日だとか……」
 沙奈ならその手の嘘をつきかねない。長いつきあいからそんな推測をしてしまう。
「今日『は』大丈夫」
「え?」
「次の危険日はこーたとするから。たぶん、これから毎日するし」
「それはやめような、ちゃんと避妊は考えような!」
「こーた」
「なんだよ」
「逃がさないから」
「そういう話じゃないと思うけどなぁ」
 きゅ、と抱きついてくる沙奈を撫でながら俺は苦笑した。

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