「おはよう男くん。朝から君の顔を見られるとは、すこぶり気分がいい。
 まさに朝もやを晴らす朝日のように爽やかで晴れやかな気分だ。
 どうか男くん、今日も一日よろしく頼む。放課後までの短い時間なのが、
 今からお名残惜しいけどね。
 とはいえ、喜ぶべき君との再会を果たしたばかりの今から、そんな辛気くさいことを
言っていても始まらないね。精一杯に、君の隣にいられる幸せを楽しむとしようか」

 ……休み明けに学校に行くと、クールビューティがデレデレになってました。
 何を言ってるわからねーと思うが(ry

 周囲のクラスメイトたちが何事かとざわめく中、俺はあんぐりと開けた口をそのままに、
まぶたをこすって目の前の人物の再確認をした。
 えーと、長く艶やかな黒髪。切れ長な瞳を覆う眼鏡、一部の隙も見当たらないほどにきっちりと
着こなした制服、凛と伸びた背筋。
 造形は、間違いなく俺の知ってるクーだった。
 強いて違う点を探せば、いつもはきつく結ばれてる唇が緩やかに微笑み、流れるように意中の
人物と出会えた喜びを讃え続けていることくらい。
 っていうかマジでなにごと?
 そりゃ確かに、隣の席になったのも何かの縁とばかりに、いつも一人で無愛想にしている彼女へ
何くれとなく話しかけて、「もっと笑えばいいのに」とか「愛想良くふるまえばいいのに」とかくどき
文句まがいの事も散々言ったのは俺自身だけど、この急変は一体?
 せめて何か心を開かれたっぽいイベントを経過したとかなら俺としても心の準備ができるんだが、
あいにくとそういった記憶はまったくない。
 先週末の別れ際だって、「歯牙にもかけて貰えないのによくやる」とゆークラスメイトたちの視線を
あえて無視しつつクーに挨拶し、いつもどーりに冷たくあしらわれて終わった記憶しかない。

「うむ、まぁ確かに先週末の別れ際までは、君の事は疎ましくすら思っていたのは間違いない。
 しかし昨日、朝を起きて君に挨拶をしてもらえないことがふと寂しく思えてね。
 一体これはどういう心理なのかと自己分析をしてみたところ、真実は君の事を疎ましく思うどころか
かけがえなく好ましいと思っていたことに今更ながらに気付いてね」

 だからって態度変わりすぎです。
 いやそもそも態度が変わったきっかけそのものが俺の理解を超えています。

「むう……それはすまないね。君の知ってのとおり、私は今まで人付き合いと言うものに積極的に
でなかったのでね、加減と言うのが判らないのだ。だからとりあえず、自分の心を素直に表現した
みたのだが、迷惑だっただろうか?」

 あー、いや。そうするようにって散々言ってたのは俺だし。ただちょっと戸惑っただけです。
 ……うん、これは喜ばしいことだよな。

「そうか、それはよかった。??いや、それどころでないな。君に肯定されるということが、堪らなく
心地よい。うむ、こんなことならば、もっと早く自分の気持ちに気付き素直になっておくべきだったな」



 ははは、大げさな。
 まぁでも、うん、人間素直が一番だよな。そんなクーさんにちょっぴり朗報だ。
 さっき放課後までしか一緒にいられないって言ってたけど、友達ってのは学校終わったあとも一緒に
遊びにいったりするんだぜ? どうだい?

「おお、それは確かに朗報だ。その発想はなかった。是非によろしく頼む。
 ついては、是非男くんに同行してもらいたい場所があるのだが、構わないだろうか?」

 おっけー、なにせクーの友達デビューだ、どこだって行っちゃうぜはははは!

「市役所だ」

 ……はい?

「うむ、婚姻届を出そうと思ってな」

 ……なんですと?

「うむ? 好意を持ち合った男女に必要なものだと認識していたのだが、違ったろうか?」

 えーと、間違っちゃあいない、間違っちゃあいないんですが、段階をいくつもふっとばしすぎです。

「そうか、なるほど。よく判った」

 判っていただけて幸いです。ええ、実は判ってないという予感がしないでもないんですが幸いと思っておきます。

「男君は、結婚の前に婚前交渉が必要と考えるのだね? ならば行き先は変更しよう」

 やっぱり判ってなかったーーーっ! っていうかどこに行くつもりだクーっ!

「私を見くびらないで欲しい。君への好意を自覚したあとで、きちんとそういった知識に対しての予習は済ませている。
 もちろん実際の経験はないが、そこは君に試してもらって指導してもらえばよいと考える」

 ホントにどこまで行くつもりだクーっ!

「君とならばどこまでも」

 ねぇ、それキレイにまとめたつもり?  ねぇ!?



    <唐突に終わる>
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