「…………」 「…………浩毅」 「北国か高山にでも行け」 「旅行? 泊りがけ?」 「平日だし、俺は学校。お前だけご招待だ。交通費は自前な」 「近場でいいから、浩毅がいないとヤダ」 「そか。光栄だ」 「こんな日だし、浩毅が欲しいな」 「オヤジ的下ネタは、お兄さん嫌いです」 「…………」 「今、舌打ちしたな? 聞こえないように、小さくしたね?」 「ウウン。ゼンゼン」 「ハハハハ。フダンムクチデモ、チャントヨクヨウツケテルクセニ」 「じゃあウェディングドレス」 「じゃあって、おい。うち、神社だぞ」 「やっぱり白無垢?」 「だからさ……第一、法律上、まだ無理だろ」 「…………」 「…………」 「浩毅?」 「みなまで言うな。いやもう、ホント勘弁してくれ」 「――で?」 「先月も赤っ恥かかされたし、無しってことでチャラに出来ないかな?」 「駄目」 「ぶっちゃけると、思いっ切り忘れちまってたんだが」 「ふぅん」 「わかった、わかったよ。放課後デートすりゃいいんだろ」 「へぇ」 「今日はサービス。お代は全部こっち持ち!」 「それで?」 「……その後、我が家にお招きさせていただきます」 「うん!」 |